

歴史の教科書では数ページしかない「第二次世界大戦」は、人類史上最大の戦いであり、僕たちが生きている世界の今の形を作った大きな要素でもあります。そして今、パンデミックにより、戦争ではない何かで世界の形が変わろうとしています。世界が変わる・変わった出来事のあらましを読むことは、それがたとえ多くの人がネガティブな印象を持つ戦争のようなことであっても、大切なことなのではないかと思います。「でもどんな本を読めばいいんだろうう?」ってなると思います。そんな人にぴったりの1冊が翻訳本として発売されました。「地図と解説でよくわかる 第二次世界大戦戦況図解 WWII Illustrated Atlas」です。

自分は「第二次世界大戦」に興味を持ったのはスケールモデルを好きになった20代中頃から。歴史学をやっていたから教科書レベルでは知っていたけど、どこで、どの国が、どんな兵器で、どんな目的で戦っていたのかを詳細にまではわかりませんでした。プラモを作ったり、戦記を読んだり、入門書みたいなものを読んだりして少しづつ理解していきました。そんなあの時の自分が本書を読んだらさぞ喜ぶことでしょう。この戦争の前後、地図入りで詳細に解説された各戦いの様子が淡々とまとめられています。ドラマ性も盛り込まれていないので、事実を淡々と吸収していく読書感覚……まさに歴史本読書の醍醐味。「俺は今歴史を脳内で見ているんだ」となる本です。

ポーランド侵攻の前の世界。世界情勢は一体どんなものだったのか? グレートウォーと呼ばれる第一次世界大戦以降のヨーロッパ、そして極東で台頭し世界に存在感を示し出した日本、中国情勢……全てが点ではなく線となっていく様子が導入で読むことができます。すごく歴史の教科書に近いパートで、もしかしたら一番読みやすい章かもしれません。「学校で聞いたことあるな〜」ってフレーズに、より様々な要素が肉付けされます。そしてこの章の後から「プラモの隣にいる歴史」の世界が記述されます。



地図がでかい。そして改めてこの戦争は広い……よくもこんな広大な範囲で戦ったなと恐ろしくなります。先日車で200キロメートル、しかも舗装された道路を走っただけでも疲れたのに、敵に襲われる緊張を抱え凸凹道を進んでいたなんて信じられない……今の世界の価値観と当時の出来事や当時の認識のすり合わせがページを捲るたびに僕の中で繰り返されました。戦争を知るだけでなくそのような思考の回転が歴史を学ぶ楽しさだと思っています。

「太平洋戦争」の本というと、自分は日本人視点の本ばかり読んできたんだなと、はっとしました。冒頭の「日本の勢力拡大はミッドウェイ海戦によって阻止され、比較的短期間で終わったが、天皇陛下の軍隊が敗北を受け入れるまでには長い時間が必要だった……」。色々考えてしまうひと文です。

地図だけでなく、当時の様子がわかる写真のセレクトも良いので目にも楽しい本書。プラモ作りの休憩に読むもよし、各戦いの記事を読んで新たなプラモを手に取るもよし。まさにプラモ製作の隣にいてくれる歴史の教科書です。

