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ひと目惚れしてお付き合いしたら、デートのたびに「好き」が増えまくるプラモの話。

 エアフィックスのボールトンポール デファイアントを組んでいたら、飛行機のカタチが出来ていく過程だけで2度絶叫してしまった。ただでさえ健気なそのフォルムがなんだか愛おしいのに、ふとした仕草がめちゃくちゃ魅力的なのだ。「なんか気になる」が「推し」に変化していく過程だよこれは。

 まずびっくりしたのが主翼と胴体の接着ね。飛行機模型の主翼というのは「左右一体になった下面のパーツに左右別々になった上面パーツを貼り、真ん中にできたミゾのなかに胴体を落とし込む」のがふつうだ。しかし、このデファイアントは主翼のミゾに橋をかけるように、胴体が上からポンと乗っかる構造になっている。

 カーブがピタリと合っているので、接着剤を流せばピタリと隙間なく固定される。普段は主翼と胴体の間にスキマができやすいことにヒヤヒヤしながら作っているのに、この構造ならスキマができる心配はほとんどない。

 「飛行機模型、全部こうなってりゃ最高なのに!」と思ったけど、このプラモ的合わせ目がそのまま実機のパネルの継ぎ目になっているデファイアントだからできること。試しに手元のゼロ戦なんかを見てみればわかると思うけど、諸国のイケてる戦闘機においては複雑な形状の板を曲げて組み合わせることでここ(フィレットという)をスーッとつないでいるので本作のように豪快な分割をすると実物と違うラインが誕生してしまうことになる。

 この飛行機だから、この分割。この分割に接着剤を流す興奮は、この飛行機だからこそ味わえるものなのだ。ほら、デファイアント作りたくなってきたでしょ。

 ……なんて偉そうなことを書いているが、これもやっぱりプラモを組んでみないと気づかなかったことだ。ボールトンポールという会社の設計/製造レベルが他のスター戦闘機を作っている会社に及ばなかったのかもしれないし、そもそもそこまで考えていなくて「加工が簡単な構造で効率的に行こう!」と決めたのかもしれない。こういうことはサラッとググっても出てくる話じゃないので、その先に図書館探検とかディープな洋書にのめりこんでいくこともできるわけだ。

 さて、せっかくパイロットと機銃座に座ったアニキがふたり付属しているモデルだから、空を飛んでいる状態で作ろう。決して着陸脚をこまかく塗り分けて組み付けるのが面倒だからじゃないぞ。いや、もし脚収納庫の扉がバラバラだったら諦めて地上姿勢で作りますが……。

▲扉が収納庫の中に落ちないように下駄の刃のような板が2枚立っている!

 そう思いながら脚収納庫扉のパーツを切り出して椅子から転げ落ちた。普通脚収納庫の扉は「開いた状態で作るのがあたりまえ」という設計で、閉じてラクをしようという人にはあんまり優しくない。フタを仮に合わせてみたらそのままストーンと収納庫内に落ちてしまうのが常であるのに、このキットはわざわざ閉じた状態の扉のパーツが用意されている上、落ちないように(所定の位置でパーツが止まるように)ちゃんと下駄の刃を履かせてあるではないか。

 接着剤もなしにギュッと押し込んでみたら、これまたきれいに主翼下面と脚収納庫扉がほぼツライチの図。うーむ、イギリスではバチピタと言っていいでしょうし、何より脚収納庫を閉めて作る人のために手間暇かかったこのパーツがあること自体が奇跡的優しさ。いやはや、飛行機模型全部こうなってりゃ最高なのに……。と思いつつタイトルに書いたことを思い出す。やっぱりこういう「いいところ」はお付き合いしてみないと見つからないし、みんながみんな完璧超人じゃないからデートはドキドキするのです。ほら、デファイアント作りたくなってきたでしょ。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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