ガンプラをめぐるお昼の静かな戦い/HGUCサイコガンダムを買った日の心の動きの記録として。

▲最初の発売は2004年8月。ヘルメットとマスクが一体成型なんだな!

 ある日の午後、ランチついでに模型店を覗く。とくに何を買おうと決めて行くわけではない。ただプラモがいっぱいあるところに行くと、気持ちが高揚して食べたものの消化スピードが少し上がるのだ。

 やおらダンボールを持った店員さんが棚の前に立って、そこからどんどんガンプラを陳列するところに出くわした。店内には自分と同じように外出ついでの寄り道サラリーマンが数人。ドコドコ積まれていく『Zガンダム』関連のアイテムは、見ているだけでなんだかムズムズしてくる。自分の好きなモビルスーツが目の前にもりもりあると、ビュッフェであれもこれも皿の上に載せてしまいたくなる衝動に駆られる。

 それは周りのサラリーマンたちも同じようで、それぞれ片手で数えられるくらいの数しかないキュベレイやガンダムMk-II、ジ・Oなんかの山を前にして、目の色がちょっと変わるのを感じた。会話を交わすわけじゃないけど、インパラの群れを前に、肉食動物の群れがグルグルと回りながらお互いの間合いを測っているような雰囲気があった。

▲ご丁寧に、指はばらばらに動くようで、指先もスライド金型で砲口が開いている。

 お互いがお互いの獲物を取り合ってしまわないように、何だ遠慮がちな顔をしつつも俊敏な動きで自分の絶対にほしいアイテムをスッと手に取り、小脇に何種類かのモビルスーツを重ねていくサラリーマンたち。さながらお昼のグリプス戦役である。

 私はRGのガンダムMk.IIとHGUCのスーパーガンダム(これを組み合わせてRGスーパーガンダムを作りたいと前から密かに思っていたのだ)を手に取った状態のまま、そのパッケージの大きさゆえに皆が手を出しあぐねているHGUCサイコガンダムをじっと見つめていた。

▲シールドの裏側にもディテールが入っていて(ほとんど隠れてしまうのだが)、どんな塗装にしようかちょっと考える。

 完成画像で何度も見たことのあるサイコガンダムのプロポーションはなかなかよろしい。しかもめちゃくちゃ巨大で、例えて言うなら1/32の飛行機模型を作るような「スペシャルなプラモ」としての風格を感じる。

 印象に残っているのはコピックで表面にテクスチャを描いたMAX渡辺の作例だなぁ……とか、畠山さんのフルスクラッチビルドもムチャクチャだったな……とか、模型誌を読んだ記憶もバリバリと音を立てて蘇ってくる。どっちも『モデルグラフィックス』で度肝を抜かれたやつだ。

▲同スケールのRX-78ガンダムと比べる。サイコガンダム、でっけえな!というあたりまえの感想が出てくる。

 家に帰って、店頭で感じたのとは全く違うボリューム感にしびれる。箱を開けるとたいそうざっくりとした出来栄えだが、それにしてもいまの自分なら楽しく作れそうだし面白い味付けもできそうだとひとりごちる。カラーリングをアレンジするか、質感で魅せるか。まずはパーツを切り出して、どんな旅になるかを歩きながら考えてみることにしよう。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。