ピックアップ・タミヤMMフィギュア! ドイツ重戦車に欠かせない頼れるアニキ!「ドイツ戦車兵エンジン整備セット」

▲う~ん、どこからどう見ても整備中。なんてわかりやすい絵面なんだ……!

 戦車というのはもともと無理のある兵器です。数十トンの巨大な金属の塊を無理やり動かすため(しかも戦闘ともなればそれなりに素早く走り回る必要もある)、動力系や足まわりには単に動いているだけで強烈な負荷がかかります。当然頻繁に壊れるわけで、そのたびに整備して動くように調整し、それがまた壊れ、また整備し……という作業を繰り返すことになります。ちゃんと運用するには、根気や粘り強さやある種の諦めなどが必要な兵器なのですね。

▲箱絵の色がついている部分が、このキットに入っているパーツです

 というわけで、ドイツ人の粘り強さと根気をうかがわせる、地味ながら味わい深いキットが「ドイツ戦車兵エンジン整備セット」です。発売は1994年9月。これも90年代のAFVブーム期の商品ですね。入っているのは整備兵が2人、そして脚立やら道具箱やらドラム缶やらという、いかにも「整備に使います!」というアイテムです。

 この時期、タミヤMMは大型のドイツ戦車のリメイクを集中して行なっていました。1989年のティーガーⅠは今だに語り草になっていますが、1993年7月にはティーガーⅡをリメイク。さらに同年10月にはティーガーⅡのヘンシェル砲塔搭載型もリリースし、12月にはパンターG型(初期型)も発売。1994年にはパンターG型のスチールホイール仕様と後期型、シュトゥルムティーガーも発売され、一大ドイツ戦車祭り状態。やたらときめ細かくパンターのバリエーションがフォローされているあたり、そういう時代だったんだなあという感じがします。

▲エンジンの解説は説明書に記載。ティーガーもパンターも全部このエンジン!

 で、重要なのはティーガーもキングタイガーもパンターG型も、搭載しているエンジンは同じマイバッハHL230だったという点です。つまり、一個エンジンのキットを作れば、当時タミヤがリメイクしていたドイツの重戦車に色々搭載できるというわけ。なので、当時のティーガーⅡやパンターのエンジングリルはちゃんと別パーツになってます。商売上手ですねえ……。

エンジンとそれ以外に分かれているランナー

▲キレのあるツールボックス内の彫刻に注目!
▲エンジンは上半分がモールドされたパーツになってます
▲エンジンと小道具。組み上がると案外ボリュームがありますねえ

 キットはランナー2枚構成。1枚はフィギュアとツール類、もう1枚にはエンジンルームの部品という内容です。ツールボックスの中身など、1パーツで成形されているのに立体感があって嬉しい限り。現在は「こんなものまで!?」と言いたくなるくらい色々なものが1/35のアフターパーツとして発売されていますが、1994年当時はこういう小道具は貴重だったはず。また、HL230エンジンは搭載車両によってエアクリーナーなど補機類の形が異なりますが、そこもちゃんと再現できるようになっています。エンジンは対応キットにしっかりと取り付けることができますよ。

▲この人、腰が心配になるな!
▲レンチは腕部と一体パーツ! 工具を持たせることで「整備してます!」感が出てますね

 フィギュアは組み立てるとこんな感じ。ちゃんと手にレンチを持たせているあたり、芸がこまかいですね(しかもツールセットのレンチ部分が空っぽになっていて、ツールボックスからとったのかな?という想像もできます)。ドイツ軍の重戦車はとにかくよく壊れるので、こういった大型のエンジンを積むような重戦車を配備した重戦車大隊は専門の整備部隊とともに移動し、また整備部隊は移動式のクレーンも持っていました。この2人も、そういった整備部隊に所属する兵士なのでしょう。

▲どこからどう見ても整備中! 説明不要のわかりやすさ。エンジンハッチを開けないで作った戦車にも置くだけで整備の真っ最中!!!

 というわけで戦車と組み合わせてみると、これがなんとも収まりがいい。ジオラマで必要なのは出来の良し悪し以前に「何をやっている場面なのか」「どういうストーリーなのか」が伝わってくることだと言いますが(これがけっこう難しい……)、この整備兵2人を戦車に乗せればこれが一体どういう場面なのか一目瞭然。むちゃくちゃわかりやすい絵面です。エンジングリルも開いて中のエンジンが見えていれば、戦車自体が整備中であることも一発で伝わって、より完璧かもしれません。

▲通好みなシチュエーションを作りたかったら、俺たちのことも思い出してくれよな!

 このわかりやすさが、箱を開けてそのまま組んで、戦車のエンジンルームにエンジンを放り込むだけで手に入る……。ここまで単純明快なフィギュアと小道具のセットは、なかなかないかもしれません。「キューポラから上半身を出してるだけ」みたいなフィギュアに飽きたら、このセットを選択肢に入れてみてはどうでしょうか?

しげる
しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。