

1968年9月、タミヤMM第一弾キットである、「ドイツ戦車兵セット」が発売されました。当時の販売価格は80円。1968年の物価ではラーメンが75円ほどで食べられたそうなので、ほぼそれと同等程度の値段と言えます。80円と今言われると安すぎてビビりますが、「ラーメン一杯と1/35のドイツ戦車兵3人のプラモが等価」と言われれば、まあそんなもんかって感じですね。
前置きが長くなりましたが、2017年に発売された「ドイツ国防軍 戦車兵セット」は、1968年に発売された「ドイツ戦車兵セット」の正統進化型と言えるキットです。メモリアルなドイツ戦車兵キットとしてはもうひとつ、1996年に発売されたNo.201の「ドイツ戦車兵小休止セット」というのがありまして、このキットはシリーズの商品点数が200を超えたタイミングで発売されたもの。
そこからさらに20年が経過したところで現代的なドイツ戦車兵フィギュアの決定版が発売されたというわけで、このことだけでもMMの歴史や蓄積を感じます。

ボックスアートはおなじみ大西先生。毎度のことながら、日光に照らされた白人の皮膚の透け感を描かせたら日本最強ですね。見ての通り、セット内のドイツ戦車兵の服装は大戦前半に着用されていた黒一色のもの。ダブルフロントのジャケットにピンクのパイビングも眩しい、「これぞドイツの機甲師団やで!!」と言いたくなっちゃうような服装です。大戦後半のガチャガチャした服装のドイツ兵もいいけど、やっぱ単純にカッコいいのはこっちなんだよな~。

箱の中身はランナー2枚構成。戦車兵なんで装備品も少ないんですが、なんせ総勢8人というけっこう大所帯のキットなので以外にボリュームがあります。とはいえ「上半身しかない人」とか「膝から下がない人」も含まれているので、組み立て自体はそんなに大変じゃないですね。あと、右下のおたまじゃくしみたいなのは、戦車兵を戦車内に固定するためのパーツとなっております。



パーツの細かいところを見てみると、これがまあキレッキレのシャキシャキ。3Dモデリングを使って原型が作られるようになった時期のフィギュアなので、写実性は完璧です。さらに重要なのが、服のシワの寄り方やたるみ方、潰れ具合が戦車にきっちりフィットしている点。車両と絡むフィギュアはその辺が適当だと一気に嘘っぽくなりますが、もうこのフィギュアは買ってきて貼り付ければ一発で「ウソ……人機一体……!」となるシンデレラフィット具合。ジャケットのでっかい襟や野戦将校帽の上半分などどうしてもモールドが潰れがちなところも別体になっているので、組み立てるだけで立体感バリバリなのも嬉しい。いや~、新しいキットっていいよね~!






というわけで、組み立ててみるとこの男前ぶり。体を曲げたことで襟が微妙に重力に負けてるとことか、涙が出そうな生々しさです。ズボンも狭い車内で動きやすいようにちょっとダボッとしたシルエットなんですが、立ちポーズの人のズボンのシワの流れ方を見ると明確に重力に引っ張られてることがわかってすごい。服にくっついてる勲章類もパリッと抜けてて、チョンとシルバーを入れるだけで最高のアクセントになりそうです。なんせ服が黒一色なんで、記章とか国章類の色が入ると超かっこいいんですよね、この服装。
あと、このキットのフィギュアのポーズの特徴として、汎用性が相当高めに作られているというのもあります。どんな戦車と組み合わせてもちゃんと絵になるようなポーズで固められているあたりは、さすがに戦車とフィギュアを組み合わせる遊びの老舗。このあたりも「21世紀のドイツ戦車兵プラモのスタンダードを作るんや!」という意気込みを感じるポイントですね。

「これぞドイツ戦車兵!」というスタンダードな装備とポーズのフィギュアを最新の造形で揃えられると思うと、このキットのありがたみが心にしみますね。いや実際、他ジャンルのプラモだと「これぞスタンダード!」みたいな有名ネタって60~50年前くらいにやり尽くされてて、しかもそれがずっとリニューアルされないっていう状態がけっこうありがち。それを思えば、定期的に王道のネタを衒いなくリニューアルしてくれる、タミヤの心意気を感じるってもんです。大戦前半のドイツ戦車だったらどれと組み合わせても使えるし、ちょっと戦車に興味のある人なら、手元に常備しておくべき逸品ですよ!