工具が家にあるというだけですぐにプラモは作れます。そしてその工具がお家にあり続ければ、大人になってまた模型を再開したり、あなたの次の世代が模型に触れるという出来事を呼び起こしてくれます。
2021年3月に発売していた「ミニ四駆ツール(ニッパー・プラスドライバー)」まさにそんな可能性を持ったセット。僕は先日開催された静岡ホビーショーで出会ったのでした。ミニ四駆を作る上での「切る」と「固定」という行為をピンポイントに成し遂げるこの1100円の工具セットは、まさにプラモの扉を開ける鍵。必要最低限のセットにすることで価格はお手頃。そしてデザインもタミヤクオリティでかっこいいので「子供が買いたくなる、親が子供に買ってあげられる」というバランスに見事に応えています。「これで僕たちの世界に入ってきてくれ! 一度去ってもこれがお家にあればいつでもプラモであそべるよ」というメッセージ性も感じるセットです。
工具においてデザインは本当に大事ですよね。使いやすい以外に、俺の手に収まる相棒はかっこいいぜ! と思える工具と楽しむプラモタイムは格別です。このセットもニッパーの青いグリップ、ドライバーの柄のオレンジの鮮やかさが最高にかっこいいです。今日、僕の息子(3歳)に見せたら「かっこいい! 使ってみたい!」と言っていました。正直なキッズにもそう見えるんですね。デザインの良さは金額を超えていると思えるほどです。
このセットのニッパーはゲートカットに特化した薄刃や片刃の高級高性能ニッパーではありませんので、バチンとパーツが切れます。でもいきなり「ニッパーの切れ味は……」なんて考えて模型を作り始めたような思い出は僕にはありません。爪切りで切って親父にめっちゃ怒られたり、ボロボロになるまでお手頃な値段のニッパーでずっとプラモを楽しんできました。そしてその経験は今でも別に辛いとか嫌だなんてことはなく、むしろ僕の手にいろんな経験値を与えてくれました。
現在はパーツをカットできれば組めるプラモがたくさんあります。ミニ四駆やガンプラはその象徴的存在ですよね。これらのプラモは「切る」という行為だけでプラモの世界に僕らを導いてくれます。まさにこのニッパーと相性が良いのです。またドライバーも模型においては欠かせない工具。汎用性の高いこのプラスドライバーが1本あるだけ十分でしょう。今回試してみてもすごく使いやすかったので、これからガンガン使います。
ミニ四駆と一緒に購入できる値頃感でありながら、デザイン性と性能のバランスを兼ね備えたこの「ミニ四駆ツール(ニッパー・プラスドライバー)」は気軽にプラモの扉を開けてくれると思います。そしてこのセットで得た体験をスタート地点にして、楽しいプラモの世界にも難なく入っていけるはずです。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)