プラモにシルキーな仕上がりを!「半光沢」の万能さに惚れた話。

▲これはとある新築工事現場の「吹き付けタイル塗装」と言われる工法で塗装した外壁。ザラザラな面に7分つやぐらいで塗料を吹いています。

 外壁塗装などの建築資材において、塗装の光沢の度合いは一般的に5段階で分けられています。つやのある順から、「光沢/7分つや/5分つや/3分つや/つや消し」となってます。外部において光沢塗装は汚れがつきにくいという機能的なメリットがありますが、ギラギラしてしまうという外観上のデメリットがあります。それを回避するために7分つやにしたり、5分つやにしたり、塗装サンプルを確認しながら打ち合わせ、つやの度合いまで決める必要があるのです。

▲ラッカーの光沢!水性アクリルのつや消し!その上にデカール!つやがバラバラだよ!

 人間は立体物を認識するにあたって、まず「形状」と「色」を視覚情報としてキャッチします。その形状と色、どちらの要素も併せ持つのが表面の「ツヤ」と言えるでしょう。表面がツルツルで多くの光線が反射して目に届くのが「光沢(グロス)」。表面がザラザラで光が散乱し、目に届く光線が少ないものが「つや消し(マット)」です。立体物の印象を決定づける上で、ホントに大事なファクターなんですよね。普段はプラモにトップコートなどせずに完成としてしまう私ですが、今回は久しぶりに気合を入れて作ったFSSのバングにトップコートをかけたいんです。

 しかし、光沢、半光沢、つや消し、どれにしようかメチャクチャ迷う。考えること約1時間……※以下独り言。

【モーターヘッドの装甲はソーラーパネルのような構造という設定だし光沢塗装とするのが正解かもしれないな、しかし実際にバングは光沢だという永野氏の言及も見当たらないし、明かされていない設定が多すぎるのでFSSの設定についての推測はマジ危険、まぁでもモーターヘッドは光沢塗装すれば曲面が美しく見えそうよね、でもね、光沢塗装っておもちゃっぽく見えることがあるんだよね……というのも模型って基本的に部屋で鑑賞するもの。光沢面に部屋の照明や家具が映り込むのが個人的にはしっくりこないのよ……ならばつや消しか?そうすればイラストのような質感が得られて良いかもしれない、いやいやいや、立体物であることの喜びを享受したいのに「イラストのような質感」なんて軟派なこと……ていうかあなたこないだまでイラスト調塗装がどうとか言ってたよな?ダブスタかい。いやまてよ、つや消しで空気遠近法を表現するという考えもアリか?しかし、目視の鑑賞距離を50cmとしてそれを144倍すれば72m、それぐらいの距離で離れて見たところで実際に光沢塗装が霞んでつや消しっぽく見えるなんてことあるか?無いよな?しかもその考えだと、そもそも私の身長が175cmなので144倍すると252mになって東京都庁とかガンバスターぐらいの大きさになるじゃないの私が。宇宙怪獣と戦えるじゃん。ていうかそもそも空気遠近法って色を淡くする技法の話だからツヤ感は全然関係無いのでは?う~ん、ワケがわからなくなってきたゾ☆あ、そういえば半光沢って1回も使ったこと無いな……】

▲というわけで、プレミアムトップコートの半光沢で仕上げました!

 綺麗だ。光沢であるのにギラギラしていない。つや消しなのにしっとりしている……もう~何で今まで使ってこなかったの私は。半光沢がこんなに良いものとは思いませんでした。形容するとすれば、まさに「絹」のよう、「シルキー」な仕上がりです。

 光沢、つや消し、様々な塗料でバラバラに塗装したキャラクターモデルに、まとまり感が生まれ、清廉なイメージがグッと高まりました。成功ですわ!

▲想像以上に美しい仕上がり……!

 そうそう今回は、盾には液垂れしない程度に「だくだく」にスプレーしました。逆に、本体側の装甲にはできるだけ薄ーく満遍なくスプレーしてみました。ちょーっと写真では判りづらいかもしれませんが、そうすると盾は「7分(ぶ)つや」、その他の装甲は「3分つや」っぽい仕上がりになったんです。半光沢トップコートは吹き付け方で、つやの度合いがコントロールできるんですね。

▲頭部は薄めに半光沢をスプレーしたので、つや消し寄りの「3分つや」のような仕上がりになりました。

 半光沢トップコートというと、個人的にはいかにも中途半端なイメージを抱いていたのですが、使ってみたら全然逆でした。まさに「万能」です。光沢もなんか違うな~、つや消しにも決めきれないな〜と思ったら迷わず、半光沢で仕上げれば間違い無しだと断言できます。

 公共の建築工事なんかは特にそうですが、どれだけ「無難か」を求められる世界でもあります。私はそんな世界にいる反動からか「模型に無難さは無用。攻めるのが模型だ。」と思っていた節があったのです。しかし、ちょっと考えを改めました。時と場合によります。本当に必要なのは、現実でも、模型でも、その世界観にあった「バランス」なのでしょう。そして半光沢トップコートは、特にキャラクターモデルのバランスを取るのに最適な手段の1つなのだと実感したのでした。

ハイパーアジア
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。