飛行機プラモのキャノピーを死んでもマスキングしたくない人に捧げる、「ド根性で筆塗り」の秘訣!

 飛行機の窓枠をマスキングするのがめんどい!窓枠が別パーツとか窓枠が最初から塗ってあるとか、先人はいろいろなソリューションを考えたけど、やっぱり自分で塗らなきゃいけない飛行機模型がこの世の99%なので塗らざるを得ない。オレは窓枠のカタチに最初からカットされたマスキングシート(わりといろいろ売られています)がない飛行機は作らないもんね!というくらいズボラ人間です。

 しかしそういうチートも使えないとなると、「窓枠以外をマスキングして塗る」というのがわりとポピュラーな手法です。どっこい、このマスキングというのもマジで難しい。直線ならまだしも、曲線的な窓枠とか超大変。あといっぱい窓枠がある飛行機ヤバい。零戦とか。

 そんなとき、どうすれば「とりあえず窓枠塗れたわ」という状態になれるかを書きますよ。

 正解は「根性で筆で塗る」です。

 そんなアホな!と思うかもしれないんですが、めちゃくちゃに拡大して写真を撮るとかじゃない限り、案外イケるということ、そしてそれはなぜなのか、という話をしたいんだな。ぐふふ。

 まずヘッドルーペとタミヤエナメル(他社のエナメル塗料でもいいよ)の黒を用意します。あと奥に見えるのはエナメル用薄め液をごく少量入れとくための皿です。拡大鏡がめちゃくちゃ汚いのは私が模型を作りまくっている証なので許し給え。

 ヘッドルーペはマジでこの価格の課金で模型が3.5倍上手くなるのですぐ買ったほうがいいです。なぜなら常人の肉眼よりも3.5倍に拡大された模型が作れるからです。1/144のモビルスーツであればヘッドルーペ越しだとメガサイズくらいの大きさに見えるし、1/72の飛行機ならば1/20というめちゃくちゃビッグサイズの飛行機を作っているのとほとんど同じ視力になります。すごい。

 しかし人間の手はいきなり3.5倍精密に動くわけではないですね。そこで課金です。筆、それもある程度いい筆を買います。めちゃめちゃ上手い人はそのへんの筆でもいいかもしれませんが、自信がない人は面相筆のむっちゃイイやつを買いましょう。

 ちなみに面相筆は細くなればなるほどすごいのかというとそうでもなく、慣れていない人はある程度の太さと穂先の長さがあったほうが扱いやすいです。あまりに毛束が小さいとコシがないので線がヨレやすいですし、穂先が小さいと塗料の含みが少なく、塗料をすぐに吐き出しきってしまうため長い線が描きづらかったりします(あと穂先が乾燥するのも速い)。

▲これくらいきちっとまとまる面相筆があるといいですね。

 さて、あとはエナメルの黒で描くだけです。なぜエナメル塗料なのかと言うと、乾燥が遅いため伸びがよく、透明パーツにもしっかり定着して、さらに引くほど発色がよいからです。最大倍率のレンズをくっつけたヘッドルーペをかけて、少しだけエナメル溶剤で濡らした筆に塗料を取って、左右の指をくっつけながら窓枠の線の中を塗りつぶすだけ。簡単そうに言うんじゃねえ!と言われそうですが、まあやってみてください。1000円オーバーの筆とヘッドルーペがあれば思ってるのの3.5倍は描けます。

▲ヨレヨレじゃねーか!!!!!

 はい、ヨレまくりました。窓枠の彫刻がもう少しバキッとした新しいキットならここまでヘロヘロにならない気もするのですが、このプラモは少々窓枠の彫刻がジェントルであるため、角度によってはどこが窓枠なのか全然見えない。そういうときはつや消しになったのを見計らって(それなりに乾燥した証拠!)ヘロったところを爪楊枝の先端でゴシゴシします。

 爪楊枝は木でできており、その絶妙な硬さと先端の鋭さによって透明パーツに傷を付けることなく塗料をこそげ落とすことができます。あんま鋭くないなと感じたらカッターで先端を尖らせたりするのもいいですね。ちなみにこそげ落とすときもヘッドルーペを付けましょうね。もちろん、削り過ぎたらまた描けばいいのです。急がば回れとかいいますが、格子状のの窓枠を残して全部マスキングするより多分こっちのほうが速い。

▲んー、だいたいこんなもんかな。

 待て待て待て、まだまだヘロヘロじゃねーか。これならマスキングしたほうが絶対キレイだわ!と思ったあなた。そのとおりです。マスキングしたほうがパキッとした線が塗れるに決まっている。しかし今は「それなりに塗れているように見える」というのが重要で、さらにマクロレンズでめちゃくちゃにパーツを引き伸ばして見ているからヘロヘロに見えるのです。おもむろにヘッドルーペを外すと……。

 ほら、それなりに塗ってあるように見えます。ヘッドルーペをかけっぱなしで作業していると「うわー!一生きれいにならねー!」とすべてが嫌になりますが、プラモには「鑑賞距離」というものがありますのでたまに外して「これくらい離れて見るよね」というところに対象物を持っていって肉眼で見てみましょう。「あれ、まあまあいいじゃん」と思えればしめたもの。

 ちなみにこの窓枠を全部塗って整えるのにかかった時間はだいたい15分ほどでした。窓枠が黒じゃない場合はこの上からアクリル塗料を乗せればエナメルの下地を溶かさずにパッキリ塗れますし(多少黒が残っていても輪郭にシャープネスがかかって見えます)、反対に窓枠内側の淡い色を塗ってから機体外部の色を乗せるなんてこともできます。

 さあ、ビビらずにちょっとだけ課金して窓枠と友達になってください。作れる飛行機プラモの幅がめちゃくちゃに広がります。みなさんも、ぜひ。

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からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。