
模型屋さんで見かける英語の赤いハコ。それはエアフィックスというイギリスのメーカーのプラモです。イギリスではプラモを作ることを「エアフィックス」と言うこともあるらしく(検索することを「ググる」というのと同じだ)、日本人が米を食うように、イギリス人はエアフィックスのプラモを食って大人になります。

イギリス上空にドバーッと飛んできたのがドイツのメッサーシュミットBf109という戦闘機です。イギリス人はビビり、そしてスピットファイアという戦闘機で立ち向かいました。イギリスのメーカーが作るライバルの戦闘機の模型、それがこの1/72 Bf-109E-4なんすね。めちゃくちゃ安いしかっこいいので買って貼ってみよう。

薄いブルーグレーのプラスチックは柔らかくて、小さいけれど深い彫刻のおかげで立体感と密度感にあふれております。タイヤ(胴体の上の丸いやつ)は地面に触れるところがギュッと潰れた形状になっていて、飛行機の重さを感じさせる演出がニクいねこの。

指先でつまめないような小さなパーツは上から眺めるとほぼ見えない奴らなので、折れたり失くしたりしても絶望しなくていいです。オレは全然失敗しました。それにしても組みやすい。1時間もかからずにサクサクと貼れます。ピンと尖ったニッパーと、流し込み接着剤(速乾タイプのやつね)を持って、こんな飛行機の模型を紅茶でも飲みながら組んでいる時間というのはめちゃくちゃに優雅です。

プロペラにつながるランナーとゲートがハードコアに見えますが、これは適当にパーツから離れたところで切断してからデザインナイフでちゃちゃっと処理すれば大丈夫。どうせスピナーがくっついて見えなくなりますので、丁寧に切断痕を処理しなくてもOKです。

パイロットのアニキがくっついているプラモは最高。そして着陸脚は飛行状態と地上姿勢がしっかり選べます。最近のワタシは飛行状態が選べるプラモがエラい!ということにして観察しています。

カウルをハメたら見えなくなるエンジンも上半分だけ彫刻してあります。「へー、こういうのが入ってるんだ」ということを知ってるのは、組んだ人だけ。完成写真やパッケージからわからない「途中」があるから、プラモは楽しい。

着陸脚が外側から内側にスイングして出てくるという「なんでそうしたんすか……」とドイツ人すら悩んだ機構がアナタの手によって組み上げられ、机からテイクオフしていきます。なんだか見ていたら色を乗せてみたくなってきたので、これまた机の片隅に置いといて、気が向いたときにチョロチョロと筆を走らせるのも楽しそう。そうでなくても、四角くてピリッとしたシルエットは部屋のアクセントとしてナイスな存在感があります。花を生けたり、詩歌をちょんと置いたりするように、こんな小品を組んで気分に応じて飾るのも、オツなものであります。