目だけじゃなかった。プラモの感動を知る、憧れの実車と初対面。

 昨年の夏、私は転職を決意し、退職届を出し長い有給休暇を過ごしていました。

 当時はスケールモデルに手を出して1年と少し。プラモデルの全てが発見の日々で箱を開ければ驚き、説明書を見てはワクワク。メーカーごとの特徴も手探りで味わいながら、何を作っても初めての体験。夢のような日々を毎日のように過ごしていいました。

 特に心が動いたのは海外のキット。言葉がわからなくても完成する神秘と日本のプラモデルとは明らかに違う考え方で作られている様子が海の向こうの人とコミュニケーションをとっているような感じで楽しかったです。

 その夏の一番の自信作はHellerの1/24のシトロエン Hバン。1個目は完成したものの息切れ感が否めず、なんだか悔しくて2個目を購入。部分塗装で美しい銀の成型色を残す仕上げは今見ても会心の出来。パネルごとに成型された波板を筆で気持ちよく撫でながら塗っていく感覚は塗装工のような気分でした。

 そして秋。新しい職場に慣れない業務。どうしたらいいのかわからないことが多い中、「赤坂にシトロエンの歴代の名車が集結する」という一本のニュース。Hバンももちろん展示されるとのこと。

 平日と、休日。2日訪れた会場で私はHバンに出会えました。

 見るだけで薄さの伝わってくる波板は光の反射で少し凹んでいることがわかる。顔を近づけると、プラモデルの凹凸を筆で塗ったときの気持ちがよみがえる。中を覗けば細いパーツで作った運転席が本当にそうであるかのような簡素な構造。

 すごい!プラモデルを作っただけなのに板のベコベコする感じや全体のシルエットがしっかり自分の感覚として身についているのがわかる。覗き込んだ中の様子も頭の中でしっかりと再現されるし、目が見ている以上に組み立ての体験が映し出す景色を鮮明にしてくれるのです。

 きっと、HellerのシトロエンHバンは名キットです。

 波板の透けそうな薄さや異常に細かいドア周りのパーツたち。がっしりとしたエンジン。それを作っただけで実物を見たときの感動がこれほどまでに増幅されるのですから。

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。