昨年秋、模型を作り、その後実車に出会うことで心も頭も一杯に満たされた私。それ以来シトロエンのHバンは最高の車で、エレールのキットは最高のキットでした。しかし、当時出会った実車は厳密には実車ではなかったのです。フロントガラスが一枚板なのか分かれているのかという違いで、エレールのキットではそれを選択できます。私が作ったのは個性が光る二つ窓の仕様。
わざわざ選んで二つ窓を作ったが故に、「同じじゃない!」というこの捻れた気持ちを都電荒川線に乗せて向かうは +h café(アッシュカフェ) 。
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店内にはなんとHバンがいます。店名の「h」はHバンのhかもしれません。そして……なんと二つ窓。やった!同じものに出会えた!そして人気の少ない二階席から見下ろすHバンのベコベコした天板が「やっぱりこんな風にへこむんだな!プラモデルもかなり薄い板状のパーツだったし!」とさらなる感動を与えてくれます。不思議なもので、昨年のシトロエン100周年のイベントで見たものよりもなんだか身近で温かみを感じました。
注文したあと、しばらくの間実車をじーっと眺めていたのですが、フロントグリルに近づいて見ると中にエンジンがあるのが見えるんですよね。当たり前なんですけど、エンジンが見えるんです。「あ、これ俺も作ったことがあるエンジンだって」思いました。中身もちゃんと作って良かったなーとか、あの作りごたえのあるエンジンを組んだ夏のことを思い出してとても嬉しい気持ちになりました。

エレールの1/24のHバンは、やっぱり良いキットだと思います。あの、独特のコツコツ積み上げていくような組み立てと、思い切ってシンプルにまとめてくる窓ガラスと、一体成型のクリアパーツたちの対比が絶妙です。
中のエンジンの密度感やドアの取手、フロントガラスそばのコの字型の持ち手とか、そういう、わざわざ組むからこそ目がいったり、気付けるディテールや大まかに薄い板を組み合わせる感覚が心に刻むHバンの全体的な印象。実車を見るたびに、それらが私の頭を刺激するのです。