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プラモのディテールを彫る「初級者お断りツール」!? 超硬けがきニードルの”真意”を読む。

 「ねー。君は模型作りの中・上級者? 腕に覚えはあるの?」

 そう問われたらビクッと身構えませんか?……身構えると思うんだよなぁ。それでも。写真を見ればわかるとおり、ファンテック 超硬けがきニードル10°のパッケージにはハッキリと「中・上級者向き」と書かれています。いったいどんなツールなんだ!

 罫書き針なのでモールドの掘り直し、新規筋彫りのファーストタッチに用いる事が多いツールなんでしょうが、”超硬”の名に恥じぬ硬さとハチャメチャに尖った切っ先により、道具のコントロールに慣れない内は先端がパーツの表面からまぁ良く跳ねます。正直とっても操作感はピーキー。これが中・上級者向きたる所以か……。

 使い始めは「やっぱり俺にはまだ早かったんだ……」と、しょげもしました。しかし、ファンテックの謳う「中・上級者向き」の道具を使いこなせるようになったらどんな世界が待っているのだろう?と期待感を持って使い続けていました。言ってみれば、道具と友だちになるまでトライアルです。

 このピーキーさをコントロールしやすくなり、超硬けがきニードル10°が抜群に使いやすくなると聞いた、同メーカーの「斬技ホルダー」を買い足したりしながら、使い続けたある日のこと。ようやく操作が安定してきます。

 ……すると、ファンテックが扱いづらくなる事を承知で凄く硬いタングステンの棒をやたら尖らせた理由に気がつきます。

 尖ったタングステンは兎も角よく斬れる。罫書き作業で「斬れる」という表現はいかがなものかと思わなくもないのですが、”斬れる”という感覚が一番しっくりくるもんだからしかたがない(そもそも「斬技シリーズ」の製品だし。)

 そして彫れる線が極めて細い。これにより今までは追い込めなかった、細かな場所も追い込めるようになりました。なんなら、「細かいのどんどん来てよ。俺とこの針なら……まだいけるぜ?」そう思うようになりました。

 冒頭少し意地悪な書きかたで始めてしまいましたが、パッケージに堂々と「中・上級者向き」と書かれていなければ、逆に僕は直ぐにこの道具を諦めていたと思います。

 この文言はメーカーの挑戦状ではなく、「最初はうまく行かなくても良い。それでも少し使い続けてくださいよ。」という指針を示す文言だったんだと思い直しました。

 ……というわけで、改めて。コントロールの快感までに少し時間がかかるけど、乗りこなせば必ず結果につながる超硬けがきニードル。腕に覚えがあってもなくてもぜひいちどお試しいただきたい”尖った”道具のご紹介でございました。

ろろ
ろろ

1988年、ギリギリ昭和生まれ。
web媒体中心の広告デザイナーをしています。
模型以外ではその辺の景色を写真に撮ったり、飲酒を好みます。

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