デカール貼りに使えるケミカル類やツールを紹介しまくっているnippperですが、それはオレがデカール貼るのが好きだから。で、今回はハイキューパーツさんから「試してみてちょ」とサンプルをいただき、ここ数週間使いたかったのに我慢していた(めっちゃ楽しみだったので、ちゃんと時間をかけてレビューしたかった)ツールをお届けします。結論から言います。デカール貼りの達人になりたかったら、いますぐ買いましょう。

このデカールスキージー、金属製の軸の両端に超高密度の樹脂製スポンジが装着されています。感触としては硬いマシュマロみたいな雰囲気です。デカールを貼るときに、この硬いマシュマロでパーツ表面との間に入った水を追い出すためのツールです。





はい、デカールの水抜きなんか綿棒でええやんけ!と思ったそこのキミ!おれもさっきまでそう思ってましたよ。綿棒コロコロすれば水は抜けますからね。しかーし、綿棒って綿の棒なんで、細い繊維がどうしてもほつれてきます。そのために高めの綿棒を使うとええよ、ということでそれなりにいい値段の綿棒をデカール用に備蓄していたんですが、よく考えたらデカールから染み出してくる水というのはデカールのノリが混ざっているんで、どうやったって繊維とノリが合体するんですよね。
いや、肉眼ではわからないような繊維でも、こうしてマクロレンズで撮影するとめっちゃ目立つし、目では見えなかったのにスミ入れするとドワーっとパーツ表面のディテールに絡みついた繊維がコンニチワしてきてびっくりした、なんてのを経験したこと、何度もあります。
そもそも、クルマの玩具の工場とかを見学すると(さすがにフルラッピングのレーシングカーの玩具とかは機械でデカールを貼ることができないので、人間がパーツにドッカンドッカンすごいペースでデカールを貼るから大量生産できるのだ)工員さんって綿棒使わないんですよ。
大事なのは、水をしっかり抜いてパーツとデカールを密着させることなので、シリコンの特殊工具とかを使うことによって、「点」ではなく「面」で、強いテンションをかけて水を追い出すんだとか。原理的にはこの道具も同じことをやれそうです。では転がしてみますよ……。

すごいです。デカールのフチから出てきた水がキュワーっとマシュマロに吸われて、繊維のゴミはいっさい出ません。デカールはズレないし、数回転がしたらもうビッチビチに密着してます。偉い。

凹凸のあるところには斜めカットのほうを使います。スジボリやちょっとした凸モールドのヘリにグッグッと押し付けるとはみ出た水がちゃんと吸われていくじゃありませんか(スポンジがびちょびちょになったら絞るなり繊維の出ないキムワイプとかに吸わせて復活させましょう。交換用のスポンジも発売されてますよ)。

今回はタミヤのマークフィット(スーパーハード)を併用しましたが、ご覧の通りの作業性で正直びっくり。とくにスジボリにデカールをグイグイ入れようとすると先端が鋭くてデカールを傷つけないもの……そんなものはない!という感じだったのですが、この不思議素材のおかげでバッチリきまりました。
ということで、デカール貼りに最高の如意棒、ハイキューパーツのデカールスキージーを覚えてください。オレはたぶんもうこれなしではデカール貼れません……。一家に一本、みなさんも、ぜひ!