プラモ作りの最後をシメる「デカール密着」に、必殺の如意棒を装備せよ!

 デカール貼りに使えるケミカル類やツールを紹介しまくっているnippperですが、それはオレがデカール貼るのが好きだから。で、今回はハイキューパーツさんから「試してみてちょ」とサンプルをいただき、ここ数週間使いたかったのに我慢していた(めっちゃ楽しみだったので、ちゃんと時間をかけてレビューしたかった)ツールをお届けします。結論から言います。デカール貼りの達人になりたかったら、いますぐ買いましょう。

▲取り出しましたるはこの如意棒。

 このデカールスキージー、金属製の軸の両端に超高密度の樹脂製スポンジが装着されています。感触としては硬いマシュマロみたいな雰囲気です。デカールを貼るときに、この硬いマシュマロでパーツ表面との間に入った水を追い出すためのツールです。

▲片方は円柱形。中心に金属軸が貫通していてマシュマロが変形しないようになっています。
▲もう片方は斜めに切り落とした円柱。芯は先端まで到達していないのでマシュマロの先端が多少変形します。
▲ちなみにデカールを切るときは専用のハサミがあるといいよ。俺はタミヤのデカールバサミを愛用しています。
▲デカールを水に浸すときはデカーリングQuickトレイがマジで鉄板。これは最高。
▲いざ、実践!

 はい、デカールの水抜きなんか綿棒でええやんけ!と思ったそこのキミ!おれもさっきまでそう思ってましたよ。綿棒コロコロすれば水は抜けますからね。しかーし、綿棒って綿の棒なんで、細い繊維がどうしてもほつれてきます。そのために高めの綿棒を使うとええよ、ということでそれなりにいい値段の綿棒をデカール用に備蓄していたんですが、よく考えたらデカールから染み出してくる水というのはデカールのノリが混ざっているんで、どうやったって繊維とノリが合体するんですよね。

 いや、肉眼ではわからないような繊維でも、こうしてマクロレンズで撮影するとめっちゃ目立つし、目では見えなかったのにスミ入れするとドワーっとパーツ表面のディテールに絡みついた繊維がコンニチワしてきてびっくりした、なんてのを経験したこと、何度もあります。

 そもそも、クルマの玩具の工場とかを見学すると(さすがにフルラッピングのレーシングカーの玩具とかは機械でデカールを貼ることができないので、人間がパーツにドッカンドッカンすごいペースでデカールを貼るから大量生産できるのだ)工員さんって綿棒使わないんですよ。

 大事なのは、水をしっかり抜いてパーツとデカールを密着させることなので、シリコンの特殊工具とかを使うことによって、「点」ではなく「面」で、強いテンションをかけて水を追い出すんだとか。原理的にはこの道具も同じことをやれそうです。では転がしてみますよ……。

▲かなり力を入れてゴロゴロゴロ……。

 すごいです。デカールのフチから出てきた水がキュワーっとマシュマロに吸われて、繊維のゴミはいっさい出ません。デカールはズレないし、数回転がしたらもうビッチビチに密着してます。偉い。

▲スジボリをめがけて斜めカットのマシュマロ先端をツーっと滑らせます。

 凹凸のあるところには斜めカットのほうを使います。スジボリやちょっとした凸モールドのヘリにグッグッと押し付けるとはみ出た水がちゃんと吸われていくじゃありませんか(スポンジがびちょびちょになったら絞るなり繊維の出ないキムワイプとかに吸わせて復活させましょう。交換用のスポンジも発売されてますよ)。

▲フィニッシュ!バチバチに密着して、スジボリにも食い込みまくってますね。

 今回はタミヤのマークフィット(スーパーハード)を併用しましたが、ご覧の通りの作業性で正直びっくり。とくにスジボリにデカールをグイグイ入れようとすると先端が鋭くてデカールを傷つけないもの……そんなものはない!という感じだったのですが、この不思議素材のおかげでバッチリきまりました。

 ということで、デカール貼りに最高の如意棒、ハイキューパーツのデカールスキージーを覚えてください。オレはたぶんもうこれなしではデカール貼れません……。一家に一本、みなさんも、ぜひ!

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>/nippper.com 編集長
からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。