たとえば夏バテにおけるそうめんのように。/ドライブラシで描く「光と形」

 素組みで遊んでもよし、塗装して遊んでもよし、プラモデルは寛大ですね。

▲箱を開けただけでも楽しい。nippperのジープ登場率は異常。フミテシさんの記事を見て即購入。
▲ランナーを見ているだけでも楽しい。さながら迷宮だ。

 特に素組み(ここでは「貼って完成!」のスタイルを指します)に関しては「癒やし」の効果が注目されつつあり、現代プラモ人の「塗装疲れ」「SNSでの作例疲れ」に対しての特効薬となり得る機運が高まっております。そして私はとにかく塗装するかどうかは素組の後の気分で決めるのであります。

▲これはライフハックなのですが、説明書を壁に貼るなどして吊るしておくとスペースが広く使えて作業効率がアップ!さらに横でアニメを垂れ流していると普通にアニメに集中してしまい、作業効率がダウン!!
▲「アニキ、これ全部つめるんか?」「いけるいける!」
▲完成!やればできるじゃん!(どこで手に入れたかわからない安物のピンセットを使ったので何個か部品すっ飛んで行方不明。nippperフリークはからぱたさんの記事を見て良いピンセットを買おう)

 素組みはいいね…リリンの生み(以下略)。美しい造形は人の脳内で色を補完させるのです。映画や小説などの、読者に考える余地を与えることで深みを増すテクニックと似ている。(TV版エヴァのラストを除く)
 しかし、趣味には”春”が来るのと同じように”飽き”も来る。塗装に飽きれば素組みを楽しむようになるし、素組みに飽きればまた塗装をしたくなるものです。ガンダムをしこたま素組みした少年は、ガンダムマーカーで色を塗ってスミ入れしてみたくなるのが世の常。私としては部分塗装を始めたこの子供の頃がプラモデルを作っていて一番楽しかったという記憶があります。自分の中で補完していた色彩を意図して色を乗せることもまた楽しいのです。 
 さて、私は塗装の中でも筆塗り、特にドライブラシという技法を多用します。

▲今年の1月にドライブラシでほぼ全塗装したMG∀ガンダム。私の現在のツイッターのアイコン。

 物体の形状はエッジの反射(ハイライト)と面のグラデーションによっておおまかに表現することが可能です。これに対してドライブラシは抜群の威力を発揮します。そもそも色とは物体が反射して見に入ってきた光なのです。先日のクリスチさんの書いた記事を見るとよくわかります。これに触発されて私も「光」を塗装をしてみたくなってチャレンジしました。その過程をご覧あれ。

▲まず素組したジープに黒のサーフェイサーをビッグバンアタックします。サフの吹き方がわからない人は前回の私の記事を見て!ドライブラシは表面がプラのままや、つや有りだとうまくいかないのです。
▲そしてドライブラシの強い味方、シタデルカラードライ!!

 あまり水分が含まれていないプニプニの水性塗料が入っていて、びっくりするほどドライブラシがうまくいきます。ニオイも無いし、筆は水で洗えるし、良いことしかありません!他社の塗料に比べてちょっとお高めですが、その分の性能は充分にあります。スタバの期間限定フラペチーノよりは安い!筆はドライブラシ専用の筆を買うか、いらなくなった筆や安い筆をカットして硬めのドライブラシ専用筆を作ってもよし!ではさっそくチャレンジ。

▲キッチンペーパーを塗る!わけではない!!

 そもそもドライブラシとはその名の通り、乾いた塗料をガサガサっとプラモにこすりつける技法です。まず、筆が完全に乾いた状態で、シタデルドライのプニプニした塗料をチョンチョンとブラシにつけ、キッチンペーパーで色がかすれるまで拭き取ろう。シタデル公式のHOW TO動画もYOUTUBEにあるので参考にしてみて下さい。

▲やさしく表面を撫でるように、サッサッと(今回は)上から下へ一定の方向で塗料を乗せていきます。
▲筆が小さすぎて終わらねえ…というときは模型の大きさに合わせた筆を使うと作業効率UP!シタデルからはドライ専用の筆S/M/Lが販売されているので私はこれを愛用しています。写真の筆はシタデルドライブラシL。
▲黒に直接塗ってもこの発色!どうですか!?

 「二十三夜月の夜。男たちは僅かな月の明かりだけを頼りにジープを駆る。闇に紛れる為、ヘッドライトは消灯していた。遂に夜間奇襲作戦を決行するのであった。」といったシチュエーションをイメージしたのですが、果たして皆さんにもそう見えますかね?見えますよね!?(威圧)


 ……そして今回はプラモ2本立て。

▲箱絵が映画みたいで超カッコイイ!タミヤ1/35MM アメリカ歩兵機関銃チームセットをしゃぶりつくします。
▲1976年発売でこの表現力!いやー酒が進む。
▲酒を飲みながらプラモ作ると複雑なトリップが楽しめるので成人の方は是非!
▲朝起きたら組立たプラモがランナーに戻されて接着されていた。これは明らかにミハイルさんの記事の影響
▲まぁいいや。こいつにオキサイドレッド(サビ止め色のサーフェイサー)をファイナルフラッシュ!
▲ここでちょっと冒険。忍法、スプレーを吹く角度を固定して一方向から吹くと勝手にグラデーションができるの術。
▲今度はシタデルドライのライザラストという色を使います。アカサビの色にも超使えるんで、1個は持っておきたい!パートナーへのプレゼントにもオススメ!
▲スプレーしたところを全部塗りつぶさないようにスゥパァ↑ドゥルァァァァイ↓
▲作品タイトル「戦火に照らされる男たちの魂」が完成!!
▲「え!?何!?81mm追撃砲がうるさくて聞こえない!!……え!?別れたいって!!??電話で言うそれ!!??」シタデルカラーをプレゼントした男の末路だった。
▲個人的に1番好きなのがこいつ「ロケット弾を手で発射する男」(編注/右のおっさんのは迫撃砲の弾だと思う)

 ドライブラシは他にも色んなテクがあるので、それはまた別の機会に紹介しますね。とにかくサーフェイサーとドライブラシの組み合わせは簡単な上にアイデア次第で面白い効果が出せるので、皆さんも何かひらめいたらnippperのタグをつけて是非教えてください。
 そして、そろそろ夏ですが塗装とSNSの作例に疲れてプラモの冬が来ているアナタ!とりあえず素組して元気が出てきたらサフ&ドライブラシで(酔っ払いながら)塗装がオススメであります。ユルいけどそこまでユルくない、あなたにとってちょうどいい塩梅はこれかもしれません。お試しあれ。冬来たりなば春遠からじ!

タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.33 イギリス陸軍 SASジープ プラモデル 

タミヤ 1/35 ミリタリーミニチュアシリーズ No.86 アメリカ歩兵 機関銃チームセット

<a href="/author/hyperasia/">ハイパーアジア</a>
ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。