
日曜午前は息子を連れてあちこちに行くのがルーチンとなっており、東京の「そういえば行ったことなかったな」という博物館や美術館を端から埋めていくような毎週を過ごしております(ともすれば二日酔いで1mmも動けないことがほとんどだった過去を考えると劇的な変化であると言えましょう)。今週は「ボートに乗りたい」「公園に行きたい」というオーダーをうまくすり替え上野に行き、ひさびさに国立科学博物館の常設展を訪れました。
恐竜化石はいつでも大人気ですが、私は地球館B2Fに居並ぶスケール感の狂った哺乳類や海棲動物の骨格が好きでございます。そしてふと上を見上げると、そこにはアーケロンの全身骨格がぶら下がっているじゃありませんか。昨日作ったプラモデルの「本当の大きさ」に触れる、偶然としては出来すぎた遭遇です。

骨格と外皮を段階的に組み立てるバンダイスピリッツのプラノサウルスシリーズ最新作、アーケロンです。見た目はウミガメによく似ていますが、アーケロンを含む爬虫綱カメ目プロトステガ科は絶滅している上に現生種のウミガメと近縁なのか遠縁なのかもよくわかっていないらしい。っていうかサウルスというのはトカゲのことなのでアーケロンはぜんぜんサウルスじゃないな〜と思いつつ、カメっぽい生き物の骨格のプラモデルというのがとても楽しそうでうっかり買ってしまった次第。

説明書には「へえそうなんだ」というアーケロンの豆知識がたくさん書かれていて、この骨格の形状も非常に独特の特徴があり、現生種のウミガメとは全く違う構造であるのだ……ということを理解させられます。確かに全長4mのカメの構造をまるまる硬い骨で支えていたらとんでもない重さになってしまうだろうし、「軽量化」というよりもスキマのある骨をもった個体が巨大化/海棲化に有利だったのだろうな……などと素人なりに考えを巡らせることもできます。

外皮のルックはウミガメそのものといった感じで、これで骨格を覆ってしまえばアーケロン的な特徴というのは文字通り隠れてしまいます。パッケージには部分的に外皮を取り付けた状態のカットモデル風写真もあるのだけど、はめ合わせの都合上接着剤を使わないと「半分外皮」にはできないのであしからず。とはいえ、全体を着脱して遊ぶならキットのままでもOK。

骨格を組んでいくと細くて頼りないパーツ同士がガチっと噛み合わさってガッチリとした剛性感を獲得するのがすげえ楽しい!まるでバイクや自動車の鋼管フレームを組んでいるときのような面白さ。肋骨が開放状態にある恐竜と違い、やっぱり甲羅に包まれたカメならではの組み味というのがここには存在します。

胴体下面の歯車みたいな骨が組み合わさったビューにも科学博物館で再会。識者によれば科博のアーケロンは骨格のレプリカというより彫塑として造形されたものに近いという話もあり、確かに頭部の造形とか全体のシルエットの流麗さなんかはまるで宇宙世紀のサブフライトシステムを見るような「そこまでカッコイイことある?」みたいな雰囲気を纏っており、化石の世界もなかなか複雑であるなぁと。

外皮をくっつけると前肢と頭部の可動をお互い妨げない非常に絶妙なパーツのクリアランスに感動します。ガンプラみたいに「動くことが前提のデザインをプラモデル的にアレンジする」というのではなく、あくまで生き物としてのアウトラインを尊重しながら可動ギミックにチャレンジしたときに出てくる旨味みたいなものがあり、バンダイスピリッツ製品ならではの凄味を改めて味わえます。

年少者をターゲットに据えた商品は「簡単に作れる」ということがどうしてもクローズアップされがちですが(そして実際アーケロンはめちゃめちゃ簡単に作れるのですが)、しかし骨格を見てあれこれ考え、そこに外皮を被せると巨大なカメが現れ、さらに動かしてみればプラモデルの設計の妙にも唸らされます。老若男女誰にでもオススメしたい、すごく楽しいプラモデルでした。そんじゃまた。