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【キットレビュー】インナーフレームに唸る! コトブキヤが挑んだ『銀河英雄伝説』艦船模型の新発想/自由惑星同盟軍 第13艦隊旗艦 ヒューベリオン

 名前は知っているけれど、まだ観たことがない名作というのは、誰しもいくつかあるものです。私にとって『銀河英雄伝説』もまた、そんな作品の一つでした。思えば小学生の頃、偶然深夜に目を覚ましてつけたテレビの画面に映し出されていたのが本作でした。その後アニメ誌などを通して、主に原作小説とOVAで展開されているその作品名を知ることとなった訳ですが、なかなか触れる機会がないまま大人になり、近年のネット配信によってついに本編を観ることができたのです。


 本伝全110話という圧倒的な大作でしたが、その壮大な世界観にどっぷりとハマり、気づけば全話を3周も視聴してしまうほど、心に深く刻まれる作品となりました。それゆえ、このキットの発売が発表される以前に、GSIクレオスから「銀河英雄伝説カラー ヒューベリオングリーン」が発売された際にも、特に何に塗るあてもないまま、ただその名前だけで衝動買いしてしまったほどです。


 銀河を二分する巨大勢力・銀河帝国と自由惑星同盟が長きにわたる戦争を続ける中、帝国の天才ラインハルトと同盟の智将ヤン・ウェンリーが、それぞれの理想と矛盾を抱えながら歴史を動かしていく壮大な群像劇。劇中を彩る主な戦力は、広大な宇宙空間を埋め尽くす無数の宇宙戦艦たちです。となれば、メカニックの機能美を愛するモデラーとしてはどうしてもプラモデルが欲しくなってしまうところ。そんなファンの熱い想いに応えるようにコトブキヤから、戦艦の巨大さや緻密なディテールを机の上で存分に味わえる最高のキットが発売となったのです。

 SFアニメの主役メカといえば、最新鋭の超高性能機がお約束です。しかし一味違うのが、この自由惑星同盟軍の第13艦隊旗艦「ヒューベリオン」です。上層部の思惑によって、新設された第13艦隊にこの艦を与えられた稀代の名将ヤン・ウェンリー。本来であれば一個艦隊の旗艦として就役する艦ではなかったこの艦を、彼は巧みに操り、並み居る帝国の巨大最新鋭艦を次々と手玉に取っていく。のちに艦隊へ最新鋭の総旗艦「トリグラフ」が配備された際も、ヤンは「乗り換えるのが面倒だから」と指揮座を動かさず、この相棒を愛用し続けました。そんなストーリーラインだけで、私たちモデラーの胸は熱くなってしまいます。


 キットは、精密なメカニック表現が光るパーツ構成となっています。特筆すべきは、グレーの成型色で出来たインナーフレーム状のパーツに、外装パーツをパチパチと取り付けていく構造です。これによって、合わせ目がほぼ存在しないため、組み上がったらすぐに塗装へと進むことができ、ストレス無く完成に近づく事が出来ます。


もちろん、塗装をせずともこのヒューベリオンの特徴を的確に捉えた成型色のおかげで、素組みのままデスクに置くだけでも十分に「あの緑の戦艦」としての雰囲気を放ってくれます。また、完成時の全長は約310mmというボリューム。デスクの上でそこまで邪魔にならず、それでいて確かな満足感が得られるちょうど良いサイズ感に落とし込まれています。

 銀河の歴史を机の上で組み立てていく時間。最新鋭の華やかさはないけれど、圧倒的な知略で歴史を動かした「不敗の魔術師」の相棒を、あなたの手でじっくりと形にしてください。きっとあなたの机の上から、「銀河の歴史がまた1ページ」紡がれることでしょう。なんてね。

SSC

1979年生まれ。サラリーマンの傍ら、模型誌でキャラクターモデルの作例も製作している。模型サークル「PLASTICBOMB」のメンバー

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