
タカラの超傑作プラモデルに源流を発し、現代に至るまで多くのメーカーが立体物を製品化し続けることによって熱烈なファンを引き付けている『装甲騎兵ボトムズ』。アニメの内容もさることながら、あくまでもスコープドッグというモチーフを大事に熟成し、機体のバリエーションを意識的に抑制した結果、各部のシルエットやディテールになみなみならぬコダワリを持つユーザーが多い、という印象を持っていました。自分もいくつかのプラモデルを作ったことはあっても、なんだか「自分の持ち物」になった気がしないというか……ストレートに言うと、ちょっと敷居が高いイメージだったのです。
いつか組もうと思ってずっと見えるところに置いていたウェーブの1/35スコープドッグ RS適正試験仕様です。ハコを開けてビビったのですが、とにかくランナーが大量に入っています。よく見てみると胴体、腕、脚、手、武装など大まかにパートが分かれており、ランナーを差し替えることで細かなバリエーションに対応できるようになっているのだな……と気づけばそこまで怖くありません。

「スコープドッグの見慣れたカタチがウェーブの1/35ではどんなふうに分割されているのかな」というのを観察しながら組んでいて、めっちゃ楽しいと感じたのが前腕部の分割。右腕と左腕は左右対称なので同じパーツを2度組むことになるわけですが、左右に付く装甲もこれまた左右対称。これでT字型のポリパーツ(肘関節の可動に使う)を挟み込む工程がとっても工業製品的というか、量産機のリアリティを感じさせてくれる瞬間です。

右腕はライフルの握り手をチョイスします。可動指ではなく親指/人差し指/一体化された中指〜小指を組み合わせる固定式の設計。ライフルにあてがってバチッとパーツをハメるとグリップの形状と指の形状がピタリと合って気持ちが良い。そして手首の軸が取り付けられる穴が僅かにグリップよりも外側にオフセットするのです。実際に構えたときにストック部分と腕が干渉しづらいよう意識していることが伝わってきてこれがまた嬉しい!

手首と前腕を接続する軸のパーツは4種類が用意されていて、これまた微妙な角度で手首の表情をつけられます。一番突出して曲がった角度になるG12のパーツは露出する筒状の部分が長く、「流石にディテールも何もない部分がニューっと伸び過ぎなのでは!?」と少し不安になりますが、ここはリアリティより演出を優先したひとつの割り切りと捉えましょう。

実際に組み付けてみると、脇を締めて手首をキュッと返しながらライフルを捧げ持つポーズがじつによく決まります。手首に限らず各部の嵌合はややキツめに感じるところもあるので、スナップフィット仕様のキットとは言えピンとダボに少量の接着剤を塗りながら組むことでスルッと組み立てられ、完成後にパーツが外れてしまうトラブルも回避できます。

1/35スケールといえば装甲戦闘車両や歩兵を中心としたミリタリーミニチュアの縮尺ですが、1/32の自動車や兵士といっしょに並べると改めてスコープドッグのサイズ感が捉えやすくなります。戦車はかなり大きくて広い面もたくさんあるメカですが、スコープドッグは体積的に少し大きな自動車と変わらないほどのサイズ感。それにしちゃ繊細な機構が多そうだな……とか、錆びたときや塗装が剥がれた時の表情はどれくらいが適切かな……なんてことを改めて考えられるのが1/35スケールのおもしろいところ。

思ったよりも小さな完成品が立ち現れ、こんどはもう少し大きなモデルも作ってみたいな、と思わされました。ここのところ自分の周りでは明らかに「ボトムズ熱」が高まっています。塗装や工作に没頭するうち、きっと自分もスコープドッグやそのライバルたちと少しずつ仲良くなれるはず。まずはその気持ちをそっと後押ししてくれた手頃なサイズのウェーブ製1/35モデルに、ありがとうを言いたくなりました。そんじゃ、また。