「トヨタ博物館はクルマの見せ方が上手いなー」と感心しつつも「こうやってカーモデルを飾ればいいかも!」と、実物を前にしても考えるのはプラモデルのことだったりする。そう、これもれっきとした模型の楽しみ方のひとつなハズだ。きっと。なにせトヨタ博物館に往訪するたび、カーモデルに触れるモチベーションを貰えるし、完成したキットの展示の仕方のインスピレーションを得られる場でもあることは間違いない。

プラモライフを過ごすなかで「模型の良さを写真に収める」に考え巡らす日々なのだが、その根幹は「どう見つめて、どう見せるか」なのだと思う。トヨタ博物館は、いや、そもそも博物館というものはその「見せ方のプロフェッショナル」なわけで流石に上手い。至極当たり前の話をし始めたけども、ここのところカーモデルばかり触っている自分にとってはその実感が加速しており、クルマを並べる角度、床のテクスチャ、壁のアートワーク、照明などなど、トヨタ博物館という箱の底力がより見えてきた感じだ。ただ、ここのところ連日往訪して一番驚くのは「クルマにホコリがいっさいついていねー!」なんだけどもね。どうしてるんだろホコリ。いや、毎日の掃除なんだとは思うが、我が家のプラモ展示にホコリがついていない時はないぞ……。

平成元年(1989年)に開館したトヨタ博物館。日本のバブル経済絶頂のピークパワーを、その空気感をも収めてしまったような箱だ。ただその箱の堅牢さに頼りきることなく展示のキュレーション、エデュケーションを含めた各種イベントの開催など、ハードとソフトの両面の維持管理に抜かりがない。展示車両のほとんどが動態保存となっており、その為の整備部門もしっかり館内に設けられている。展示車両のエンジン直下には漏れ出るオイルを受け止めるトレーが置かれており、いつでも始動できるリアリティを感じ取れる。

トヨタ博物館はトヨタの自動車史を誇る前に、大前提として「人類と内燃機関の歩み」を博することに重きを置いている。なので展示の時系列は19世紀終盤にカール・ベンツが発明した人類初のガソリン3輪車からはじまる。ベンツの嫁さんが「夫が馬レス車とかいうのをつくったから子供のせて遠くに出かけた」という例の逸話のクルマだ。この3輪車に続き、人類の自動車史が勃興していく様を感じ取れる展示が続く。

自分が毎度必ず舐め回すように眺める『ドラージュ タイプ D8-120』。1939年にフランス人が到達したクルマにおける流線美の極みだと思う。WWⅡ直前、フランスって絶好調だったんだなー。と、思いを馳せられる。このあたりの時代のクルマは模型も含めてここでしか見る機会ないものばかりなので、新鮮に感じる人も多いはず。美意識の追求という点においては人類史といえるし、それをカタチに成せた工業史でもある。

展示の後半は日本の自動車メーカーの勃興と隆盛を遺憾なく感じることが出来る。この辺りになると国内外問わずでカーモデルになったモチーフが目につく。この初代ソアラの持つギラつきは現在ではなかなか見れないノリだ。バブルに突入前夜の日本の調子の良さを感じとれる。迫力の色味なので是非直に見て欲しい。そう、この初代ソアラをアオシマが当時金型を用いて再販する様なので、このギラつく色味を出すのに挑戦してみるのも面白そうだ。

車両展示が主となるクルマ館を抜けると文化館と続く。文化館の「クルマ文化資料室」では自動車にまつわる文化資料が大量に展示されており、その様々なジャンルのなかにプラモデルもしっかり紹介されている。国内外のビンテージキットが色とりどりにひしめいていて、お店の陳列棚とはまったく別物な雰囲気となっているのがおもしろい。

文化館を後にすると「ああー!クルマのプラモが欲しいぞー!」と昂ぶるのだが、その思いをミュージアムショップがしっかりと受け止めてくれる。プラモもしっかり置いてあって嬉しい。今回はトヨタ博物館往訪においてド直球なキットといえる『タミヤ 1/24 トヨダAA型』を手にしてきた。トヨタ博物館のガイドブックも合わせて買ってきたので、同車両の展示写真を横に眺めながら組み立てていくのは楽しそうだ。
トヨタ博物館の整然とならぶクルマを眺めては思うのは「整理整頓、精神衛生に大変良いな」だ。自分の家も片付けしよう。自分の部屋も片付けしよう。机を片付けしてからタミヤのトヨダAAを組み始めよう……。