
バンダイのFigure-rise Standardシリーズにウルトラマンの系譜が加わったのがいつ頃かはもう覚えていないくらいに馴染んでしまった感がある。ガンダムや仮面ライダーが何十年も前の初期作品からのラインナップが鉄板商品として幾度となくキット化される中、ウルトラマンは新しいタイトルを中心に展開していて、他よりも若い世代を向いたラインナップだ。
そんな中にあってウルトラマンティガは現時点(2026年3月)でFigure-rise Standardシリーズで最も古いタイトルからのプラモデル化だ。1996年放送のタイトルは筆者としてはもうウルトラマンを卒業してる年齢だったのだけれど弟が観ているのを横目にしていて「ギリギリ知っている」存在でちょっと手を出してみたくなったんだよね。
ウルトラマンのいいところは頭の全景のわかる状態がシュっと一体成型された状態で現れるトコ。色分けの都合やデザイン上フェイスとヘルメットが別れたものも珍しくなくて、そこそこの部品を組まないと頭の全体像が見えて来ないコトが多い。ひと目でわかるメインディッシュの存在は、自動車プラモデルのボディ部品に通じるところがある。

お面としての一体成型のマスクを除いた部分は乳白色にラメの入ったような独特の質感の目や、硬質な頭部から柔軟性のあるボディスーツへとつながる赤い後頭部、細かいところでは「耳の中」を再現するゴマ粒のような部品まである。

もうすでにバンダイスピリッツのキットはこの仕様が標準になりすぎて、それ自体をいちいち紹介するのも野暮なんじゃないかと思う細かい色分けを再現するパーツ分割。

それでも紹介してしまうのは、組んでる途中の景色が抜群に良いから。肩回りの金色の溝を嵌めていく作業はまるで箱根細工のよう。切り口がほんの少し残ってしまうだけで全然嵌っていかないので切り口をナイフで整える。大した作業じゃないのだけれど精密な工作の一端に自分が参加できた達成感もあって面倒さは感じなかった。むしろキレイに整形できたことでご褒美のように発生する合いの良さが楽しい箇所だったりする。

そうそう、キャラクターの話をするとこのウルトラマンティガからメインカラーに青が加わって赤銀2色だったウルトラマンのイメージが刷新されたんだよね。

腕の分割は青い部品がかろうじてその輪郭を感じさせる以外は、どれがどこにつくかが説明書なしではわからないくらいバラバラ。ちょっとしか露出しない肘関節の青と銀の色分けに至っては執念めいたものを感じて圧倒されてしまう。

構造的に面白かったのは腰回り。いわゆるパンツの下端が解放されていて、太ももを動かすときに干渉しないよう”逃げ”を作っているところ。最近流行りの美少女キャラクターのプラモデルだととにかく「パンツの形」を如何に維持するかといった造りになるのだけれど、ヒーロー類型のプラモデルならそこは無視できるという判断なのだろう。

おかげでフトモモがきれいに閉じる方向への可動が決まってウレシイ。きれいに反る背中と上を向ける首関節で飛行ポーズも美しく決まる。

そして「ふーん」で済ませてしまいがちなのだけれど、正面からのパンツラインがカッコイイ。かっこいいパンツラインとはなんだ?という話にもなるんだけれど。仮面ライダーや他のウルトラマンのキットでは太ももを大きく上げるためにハイレグカットなラインで鋭角的に作られがちだったところに、浅い角度のカットで本来関節に継ぎ目がないボディスーツのラインを感じさせる処理。特撮ヒーローの股関節周りの処理として出色の出来だと思う。

ハイレグカットをやめたから太ももがさっぱり上がらなくなったかというとギリギリ立膝ができる。このプラモデル、他にもわきの下があまり閉じないとか上腕のロール可動域も控えめでゼペリオン光線のポーズも可動域を限界まで使って再現する。それでもそれほど遊びづらさを感じることはなく、むしろキレイに体のラインの繋がったポーズを拝むことができる喜びが大きい。

組み上がったら動かして遊ぶというシリーズの一貫した前提の中で、やみくもに可動域を広げるでもなく、ラインナップを重ねた中で惰性的に踏襲した処理に走るでもなく、丁寧にちゃんとモチーフと向かい合って作られているのが感じられる。ネットのレビューで言及されがちな「ここは何度曲がります」とか「オプションは何がついてきます」とか、そういう要素ごとの加点基準を気にするんじゃなくて「ウルトラマンティガの可動プラモはこういう塩梅でこういうたたずまい」っていう意志でまとめられている。そういうセンスで出来ているの、嬉しくなっちゃうよね。