

今まさにストーリーが佳境に入ろうとしている『ウルトラマンブレーザー』がおもしろい。おもしろいのでウルトラマンブレーザーのプラモデルを買った。ウルトラマンブレーザーの全身には複雑な模様が入っている。左右非対称だし、赤と青のラインがごちゃごちゃに入り組んでいるし、これを「自分で塗ってください」と言われたら泣いちゃうところだけど、バンダイはそんな乱暴なことは言わない。「塗装なんかしなくてもこのややこしい模様が完全再現されますよ」というおもてなしを用意している。
どうやってこんなややこしい模様を再現しているのかというと、ひとつにはインサート成形である。ひとつの金型に複数種の樹脂を流し込むことで、成形が終わった時点で色分けができちゃっているというアレである。

ブレーザーの胸や肩、左半身の太ももや脛などは、このインサート成形で入り組んだ模様が再現されている。メタリックなレッドとブルーがひとつの部品の中を縦横に走り、ずれもにじみもせずにガッチリとパーツになっており、知っていても「オッ」となるようなスペシャルな雰囲気が漂っている。スペシャルな部品がプラモデルに入っていると、素直に嬉しい。
で、今回問題なのが、インサート成形「じゃない」部分である。ブレーザーは、背中や腹部にもややこしい模様が走っている。この部分はインサート成形の部品が用意されておらず、各色のパーツを重ねて取り付けていく形式となっている。この「じゃないほう」の組み立て工程が、とんでもなくエキサイティングなのだ。たとえば黒いパーツの状態では、これが何になるのか全然わからない。ちなみに腰の後ろっかわのあたりです。

ブレーザーの模様は4つのレイヤーに分かれている。ベースとなる黒い部分、その上に左右対称な銀色の部分、そしてその上から青いライン、赤いラインの模様が重なっている。赤青のラインの重なり方はまちまちであり、青が上になることもその逆もある。ややこしいが、キットではこのレイヤーごとに各色のパーツが用意され、土台となる黒い部品へグサグサ突き刺していくことになる。

一番下のレイヤーである黒い部品は、何も部品が付いていないとほぼ意味不明な形状をしている。そこに部品がグサグサ刺さっていくことで「お前、腹の部品だったのか……?」となり、さらに細いラインの部品を取り付けることで、「ウワーッ! 急にブレーザーの腹が完成した!」となる。意味不明な凸凹の意味がだんだんはっきりしてきて、あるタイミングを超えるといきなり「あっ、背中だコレ!」という驚きが発生するのである。

取り付ける部品の中にはほとんど破片のような小ささのものもあり、また一眼では取り付ける向きや位置がわからないものもある。ほとんどパズルなのだが、それが解けて急に胴体が完成した時のアハ体験的な面白みは、このプラモデルの大きな持ち味だと思う。面倒なんだけど、同時にずっとやっていたいような面白さがある。

しかし、なんで「一部はインサート成形、一部はパズル的な組み立て式」みたいなことになったんだろうか。これは憶測だけど、インサート成形のパーツを全身分用意することは可能だが、それをやるとキットの値段が今の倍以上になっちゃうのではないだろうか。

だが、土台の上に3レイヤーの部品を取り付けていく方法は、関節を挟む必要がありパーツの肉厚が薄くなる、太ももや肩の部品では難しい。だから、「ベースとなる黒いパーツの肉厚がある腹部や背中は組み立て式、そうじゃない胸部や脚部、肩の模様はインサート成形で再現」というハイブリッドなやり方になったのだと思う。

とくに背中のパーツ構成はマジですごい。これは体験してもらわないとわからないと思う。

ウルトラマンブレーザーは、おそらくもともと「プラモデルにすることを前提として作られたデザイン」ではないはずだ。それをねじ伏せてプラモデルにするにあたり、バンダイはインサート成形と高精度のパーツによる組み立ての二正面作戦で戦い、「パーツ分割はややこしいのに、スルスルと完成していく」という体験をユーザーに届けた。スゲ〜としか言いようがない。

モビルスーツのような、いかにも「プラモになるんだろうな〜、これ」というモチーフがストレートにプラモになっても楽しいけど、もともとプラモになる予定じゃなかったものが無理矢理プラモデルになっている時特有のワンダーというものがある。ブレーザーのプラモデルにはそんなワンダーと、それを実現するバンダイの剛腕とおもてなし力もパンパンに突っ込まれている。めっちゃ面白いです。みなさんも買って驚きましょう。