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【レビュー】首都高バトルと老舗模型メーカーの邂逅/ニッサン スカイラインGT-R (BNR32) “プラモス”

 コンシューマー機向けソフトとしては18年ぶりに奇跡の復活を果たしたゲーム『首都高バトル』に模型メーカーのハセガワが登場します。というか、もうちょっとメタな構造としてゲーム世界に「ホビーショップ HASEGAWA」というものがあり、その2号店の次女がステッカーチューンされたR32 GT-Rに乗っています。ゲームやってないとマジで何を言ってるのかわからないかもしれませんが、そのマシンがハセガワからプラモデルとして発売されたよって話。

 古くはエースコンバットシリーズに登場したアイドルマスターのいわゆる「痛機」をハセガワはプラモデルとして発売していたわけですが、このR32 GT-Rも同様に「そもそも実在性のカタマリみたいな出来の良い生真面目なスケールモデルがあって、そこに美麗なグラフィックをデカールで乗っけることによって非実在のマシンに仕立てる」という構造そのものがおもしろい。

 ハセガワのR32は2020年に発売された傑作キットで、これまでこまかな仕様違いやレースカーとしてのグラフィックをまとったバリエーションが20種ほど展開されてきました。エンジンこそ再現されていないものの、シャシ裏の複雑な構造やインパネ周りのこまかいディテール、そしてなにより実物のフォルムをものすごく忠実に捉えたボディ形状にかなり惚れ惚れする出来栄えです。

 「ホビーショップ“HASEGAWA”2号店の看板娘三姉妹の次女。アニメ・漫画を中心としたサブカルチャーにどっぷり嵌り、見事なオタク女子へ。人見知りなところもあるが、声をかけられれば丁寧な接客で評判はいい。模型はアニメに登場したキャラクターモデルを、素組みに墨入れ程度でライトに楽しんでいる。家に籠りがちなのを姉が心配し、首都環状に引っ張り出された。【久遠のポラリス】を人見知り界のカリスマと称え、憧れているらしい。」

 説明書には型通りの実車解説とともに、このマシンの主であるキャラクター「長谷川 舞依」の妙に細かいバックグラウンドが同じテンションで記載されています。マシンに入るグラフィックは派手さこそないものの、エアブラシのハンドピースから描き出される光のパーティクルやプラモデルのランナーを思わせる星、そしてリアウィンドウにドカンと貼られるハセガワのロゴ(がモノトーンになっている上にちょっとキラキラアレンジされている!)もデカールに収録。

 新規造形のメッシュホイールはグレーのプラスチックなので指定通りシルバーに塗装したいところ。ボディの塗装指示は自社コラボならではの矜持というかこだわりを感じさせるやたらと複雑な3層コート指定となっています。とはいえ、ボディパーツは最初からメタリックカラーのプラスチックなのでそのままデカールを貼るだけでも雰囲気を充分味わえる内容になっているのがミソ。

 とにかく「ちょっと既存品にデカール足してバリエーションキット出しちゃお」みたいなイージーさを感じさせない気迫が感じられるこのキット。ゲームではふんわりとしか掴めないキャラクター像を手に取れる実体で補強し、なんならマシンのカラーや細部のマーキングはこのプラモデルこそが「正解」として機能すると言ってもいいでしょう。女の子のフィギュアもイラストもどこにもないけど、彼女はまちがいなくこのシートでハンドルを握っている……。これはプラモデルメーカーとゲームがガッチリとコラボしたからこそ誕生した、不思議で素敵な模型の楽しみ方だと思うのです。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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