最新記事やプラモデル情報を毎日お届け!
follow on Xをフォロー!

【レビュー】990円の超音速体験/ハセガワ F-20 タイガーシャークが、あの日見た実機の記憶を呼び覚ます。

 ハセガワのF-20タイガーシャークである。軽戦闘機として高いポテンシャルを持っていたけど3機しか作られず、どの国も採用しなかったことから事実上の試作機みたいな扱いになっている悲運のマシン。ハセガワの安価なプラモがあることは知っていたけど、そういえば作ったことがなかった。なんとなく避けていたのは、X-29同様「シン・カザマの愛機」というアイコニックなフィクションのせいかもしれない。

ハセガワ(Hasegawa)
¥693 (2026/02/20 00:16時点 | Amazon調べ)

 7年前にロサンゼルスを訪れたときのこと。カリフォルニア・サイエンス・センターのエントランスには、血を分けたT-38といっしょに宙吊りになったF-20タイガーシャークが展示されていた。直線的なアウトラインに鋭く尖ったノーズ。そして単発機ならではのズドンと力強いお尻のカタチに私はけっこうなショックを受けた。ツヤのある重たいグレーの塗色と相まって、小ささを感じさせない存在感は強く印象に残った。

 はじめまして、のハセガワ製F-20。ハコを開けるとまさにあの日見た飛行機の半身がゴロンと出てくるではないか。パーツ構成はとてもシンプルで、あれこれ小さなパーツを取り付ける必要もなさそう。まさにハセガワのBシリーズ(定価税込み990円で比較的いつでも買えるアイテム群)を体現したような、必要最小限の中身で飛行機のカタチをストレートに教えてくれる親しみやすい模型……というのが第一印象だ。

 いまでは大半のプラモデルが主翼を上下に分割しているが、このキットはプラスチックパーツ1枚で再現している。裏側には深さ1mmほどの脚収納庫が彫刻されているが、「こんなに薄くてはタイヤが格納できないじゃないか」なんてツッコミは無粋であって、薄く鋭い主翼の表現と金型面積の節約を同時に果たしながら超音速の組み心地を提供する割り切りというやつである。

 ミサイルはワンパーツ、増槽もどシンプルに竹割りで、機体に接合するためのパイロンもいっしょにパーツ化されているから接着も頑丈至極。ジェット戦闘機というのはどんなものなのかをあれこれ考えずに体感したければF-20を組むといいよ……と言いたくなるような、とても気持ちの良い模型だ。

 強いて言うならばキャノピー開状態を前提に設計されているため、シート周りのパーツ構成がかなり不可解なことになっているのが弱点だが、閉めて作りたければシート後方ががらんどうになるのを見なかったフリして組めばよろしい。それよりなにより、このキットはディテールよりも機体全体のフォルムを楽しむことに集中したほうが楽しい。

 あの日宙吊りになっていたF-20がスッと眼の前に表れて、装備を満載しながら着陸脚を出し、自分の机の上にタッチダウンする。重たいグレーも白いレターもイメージ通り。パーツが少ないからオススメとか、簡単だからイイぞと言うつもりはない。「ジェット戦闘機の模型」としておよそ最小構成と言えるコンパクトなパッケージは、実機のコンセプト同様もう少し評価されてもいいんじゃないかな、と思った。避けててごめんよ、タイガーシャークさん。

ハセガワ(Hasegawa)
¥693 (2026/02/20 00:16時点 | Amazon調べ)
童友社(DOYUSHA)
¥2,200 (2026/02/20 00:23時点 | Amazon調べ)
FALLER
¥725 (2026/02/20 00:25時点 | Amazon調べ)
からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

関連記事