

「いつか作りたい」と「いつでも買える」がずっと怠惰な関係でいられるのがプラモデルにおける定番商品の甘い罠。一期一会のプラモデルが持つ鋭い衝動に背中を押され続けていると、「いつか」は一生訪れない。そこに終止符を打つならいま買って今日作るしかない……というのが、今回ハセガワのF-8Eクルーセイダーを買って作る理由です。
現在ではアカデミーやSwordといった後発メーカーのF-8Eも比較的手に入りやすく、今から50年近くも前に作られたハセガワのキットは確かに「古いもの」と判断されても仕方ありません。しかしパーツ数が少なくて安くてどこでも手に入るというポピュラリティには、他のどんなキットも勝てません。

もちろん彫刻が凹線になっているもっとモダンなキットのほうが今風の完成品に仕上がるでしょうし、50年前のトレンドや技術では再現しきれていない部分もあるでしょう。だからこそ「それならそれでストレートに組もうぜ!」というのもまた、ハセガワの定番飛行機プラモデルに許された向き合いかただと思うのです。飛行機模型をふと作りたくなってみた人でも手に入れられる気軽さと、少ない手数でF-8Eのカタチがドカンとできあがる快感は、どう考えたってこのキットが最高峰です。

基本的には胴体が左右に分割されていて、主翼を上にポンと乗せればほぼカタチになる構成です。小さなパーツの塗り分けや接着もありますが、「決めた時間でできる範囲内に留める」という選択ができるのもシンプルなキットだからこそ。今回は説明書に書いてあることだけ(そしてかけられる時間は夕食から就寝までの時間を3日分)と決めてゴールを設定しました。

シンプルながらシャープな造形のエンジンノズルや一体成型でポンと吊るすだけの各種兵装も「精密に実機を再現する」というよりは「F-8Eという機体の特徴を最低限の構成で味わう」という態度に寄り添うようです。さらにそれを盛り上げるド派手なデカール(米海軍、米海兵隊、フランス海軍の3種類から選べます)が塗装や工作の至らないところも補って完成品を印象的なものにしてくれます。

各パーツはピタッと合わさり、合わせめ消しをせずとも機体のアウトラインが乱れるようなことはありません。各所に入る赤が米海軍機らしさをグッと演出してくれるようで、いままで「F-8Eってかっこいいなぁ」と思っていた気持ちがしっかりと満たされました。

古いキットのレビュー記事を探すと、いかに現代的に磨き上げるかを競うように作られた美麗な作品がたくさん見られます。そしてハセガワの完成写真も少し色褪せたフィルム写真で残されているため、キットが本来持つシャープネスや現代のツールやマテリアルに助けられることで表れる佇まいといったものが必ずしも正確に伝わるものではないように感じます。こうして特別に手を入れたりせず当時の説明書通りに完成させたキットを眺めてみると、ずっと昔から愛され続けるこのプラモデルがいまだ現役であることが誇らしくすら思えてきます。みなさんも、ぜひ自分の手で完成させて、キットのあるがままから良いところを見つけてください。それでは、また。