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【レビュー】造形と分割が奏でる極上ハーモニー!/PLAMAXヴェルビンを音楽に例えるなら。

 プラモデルを作ることは、音楽に例えるならCDやレコードなどの「鑑賞」である。作った後はその余韻。そう思ったりする。コーヒー片手にデスクに放り出したスマホから聴いたり、最高のアンプとスピーカーで周波数の隅々まで堪能したりと、様々な享受の方法がある。
 そしてPLAMAXヴェルビンは、ソファに深く腰を埋めながらお気に入りのオーディオ機材でどっぷり溺れてみたい!色彩を纏わせてうっとりしてみたい!と思わせるパワーを持った名盤的プラモデルだ。そんなヴェルビンを組み立てていると、ランナーからハーモニーが聴こえてくる。私の愛聴するオガーマン&ブレッカー『シティスケイプ』とよく似たハーモニーが!……酔っているかもしれない。

ワーナーミュージック・ジャパン

 造形は演奏だ。昆虫的美しさを湛えた官能的な曲面。猛禽のクチバシや爪のように攻撃的なエッジ。それらはまるで深く艶やかな響きと、鋭くテクニカルなパッセージが同居するテナーサックスの音色のよう。原型師・毒島考牧による渾身の造形と、マイケルブレッカーの冷静で情熱的なプレイはよく似ている。まさに職人技の煌めきなのだ。

 プラモデルの分割設計は、編曲の妙だ。編曲家クラウス・オガーマンが手掛けるストリングスのハーモニーは現代音楽的な緊張感があり、まるで闇夜の摩天楼を綱渡りする張り詰めた浮遊感から急転、ふわりと雲の上にランディングするかのような安堵感をもたらす和声の解決をみせてくれるのだが、ヴェルビンの組み立てもまさにそんな印象。この複雑怪奇でなんだかわからない骸のようなカタチのパーツを貼り合わせていくと、入り組んだ構造の美しいフィギュアへと変貌していく。

 全ての楽器のメロディラインとリズムが重なり合って、重厚な楽曲が出来上がっていく。クリアパーツのディテールに反射する光は煌びやかな高音域。パーツの貼り合わせだからこそ得られる、彫りの深い彫刻がもたらす陰影は重低音。塗装をしてこのグルーヴを味わい尽くしたいという欲求は抑えられない。

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 なめらかな装甲の起伏をナチュラルに味わうために何が最適か考える。結果、全体的に光沢の明灰色をエアブラシで均一に塗装することにした。緻密な彫刻の関節は、起伏が光に当たって強調されるようメタリックのダークグレーで塗装。筆塗りのタッチなどで味付けをせず、音源そのものをクリーンに聴くことに徹した。

 これが極上のひとときだった。時間が彩られていく!塗装が終わればオーケストラもフィナーレを迎えるわけだが、プラモデルが音楽と違うのは余韻がカタチとして残るということ。PLAMAXヴェルビン、いつでもそのハーモニーを鮮明に思い出すことのできる、味わい深いプラモデルだ。

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ハイパーアジアのプロフィール

ハイパーアジア

1988年生まれ。茨城県在住の会社員。典型的な出戻りモデラー。おたくなパロディと麻雀と70’sソウルが大好き。

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