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『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主役メカは誰がなんと言おうがVT-1なんですよって話

 今年の春に『愛・おぼ』を劇場で鑑賞してですね、むちゃくちゃ感動して映画館を出て最初に思ったことは「このアニメの主役メカはVT-1なんじゃないのか」ということなんすよね。ほかのバルキリーみたいにド派手に変形してバンバン撃ち合いとかじゃなくて、歌姫との映えまくる土星デート、上官との予期せぬ駆け落ち状態(だいぶ鬱)を作り出し、たくさんの景色を僕らに見せ、ストーリーそのものを印象付けているのはこのオレンジの練習機じゃないか、と。そしてハセガワからついに「VT-1のガウォーク」が新作として発売されたぞと。なんちゅうタイミングじゃ。あっぱれ。


 このおどろおどろしいパッケージイラストがまた良い。放射能でガビガビになった地球で奇形化した魚(あきらかにお腹壊しそう)を、どう見ても精神的にも肉体的にも参りまくっている美沙に食べさせようとする一条輝くんですよ。テントがないけどそれはまあいいわ。とにかくだな、腕が出ていないガウォーク形態を天幕がわりにする演出、独特な尾翼の畳み方。「戦わないから端役」じゃなくて、VT-1というマシンに最大限のリスペクトを持って生み出された商品だということがわかるわけ。

 パッケージイラストのシーンだと後席に美沙がいるんだけどさ、オマケパーツでミンメイも用意されているんですよこれ。ファイター形態のVT-1買ってくれば土星デートもできましょうし、なんならこのキットのパーツとミックスすれば「スーパーパーツ付きのガウォーク」もできちゃうわけですよ。なにそれめっちゃ楽しみ。

 そんでさぁ、説明書パラパラ読んでると腕出した状態のガウォークも作れるって書いてあるじゃないですか。え、プレイバリューがスゴすぎない?っていうかこのキットのパーツ構成ってどうなってるの。これまでのバリエーションにちょこっとフィギュアといくつかのパーツ(閉じた状態の前脚カバーと両腕収納時の胴体下面パネルとアンテナ)足しただけと違いますの?……そう思いまして全ランナーを箱から出して並べてすんげえ驚きましたねオレは。

 本キットはVF-1ファイター、VF-1バトロイド、VF-1ガウォーク、VT-1 スーパーオストリッチ、VT-1/VE-1共用パーツ、VT-1ガウォーク用の新規パーツと、実に6アイテムから必要なランナーをピックアップすることで成立しているんです。言うてみりゃこれまでのハセガワ製VF-1バルキリー25年の歴史が全部詰まった地層を眺めているようなもんで、じつに長い年月をかけてついに実った果実こそがこのVT-1ガウォークなんだよなぁ。売れる売れないとか人気があるないとか地味か派手かじゃなくて、これ絶対に必要な商品だもんなぁ。作ってくれて本当に嬉しいと思いますね。

 もちろんファイターとバトロイドからそれぞれパーツを持ってきたり、それをガウォーク専用のパーツで繋いだりとなかなか複雑なことをやっているので不要パーツもたくさん発生する仕様ではあるのですが、付属フィギュアも相まって「過去製品と組み合わせることで商品仕様にはないVT-1の景色」も視野に入ってくるリッチなプラモデル。『愛・おぼ』を観たら間違いないっすよ。VT-1こそが主役なんだよ。そのガウォークの、新作プラモがいま発売されたんですから、買わない理由は無いってもんです。みなさんも、ぜひ。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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