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タミヤの1/48 ドイツⅢ号突撃砲G型が教えてくれた、「風呂から始まるミリタリー」の話。

 「お、風呂のフタがあるぞ。」今の部屋を内見したとき、そんなことをなんとなく思った。少し変わった形をした浴槽に合わせて作られていて、妙に感心したのだ。一部の角が切り落とされていて、「そんなことができるのか」という驚きがあった。風呂のフタを使うことはめったになく、普段はぐるぐると巻いて立てている。ちょっと物を置くのにちょうどいい高さで、使い勝手がいい。ときどききれいに洗って、また立てておく。

 先日、あることに気づいた。風呂のフタは、履帯っぽいのだ。これはタミヤの三号突撃砲の履帯を組み立てて、しばらくしたあとに気づいたことだった。棒状に分割された部品が、くるくると巻き付いていく様子が、戦車に履帯を巻いていく感覚とかなり近い。

 試しに三号突撃砲の履帯の幅を測ってみると大体0.8センチ。実寸にすると38.4センチになる。風呂場のフタの幅は60センチだ。だいたい20センチほどの差があるわけだが、かなり実感をともなって「履帯ってデカいな」と感じた。それ以外にも、ハッチの大きさとテーブルの実寸を比べてみるといった具合に、毎日の生活のなかには、意外と例えにしやすいサイズ感のものが転がっているのだと気づく。

 これは実物を見るよりむしろ面白い体験かもしれない。見慣れたものと同じくらいの大きさだと実感することには、独特の驚きがある。本物を目の前にすれば「大きいな!」で終わってしまうところを、パーツひとつを指でつまみながら「これがテーブルくらい」と想像する。手の中にあるものと、部屋にあるものとを対比させることで、触っているものと見ているものの差が、はっきりと立ち上がってくるのは不思議だけど妙に手触りがはっきりとした感覚だ。

 風呂のフタの幅は60センチある。これくらいの履帯の幅を持つ戦車は、いったいどれほどのサイズになるのだろう、という考えに自然と至る。逆に言えば、三号突撃砲はそこまで大きくないのかもしれない。風呂のフタをキャタピラだと思いながらする風呂の大掃除は、きっと楽しいに違いない。

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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