
寄れば寄るほど実機もかくやというディテールが素晴らしいファインモールドのF-104J。素晴らしいのは表面だけじゃない、ファインモールドが鍛えてきた「組み立てへの挑戦」が見事に成就したキットなのです。


さてF-104J、ランナーがシンプルでパーツ数も抑制的。これもしかして、いままで以上に「組むと早いんじゃないか」という予感がする構成です。細かいパーツや翼をまとめたAランナー、胴体パーツのBランナー。あとは尾部のC、エンジンのDとどんどんパーツが小さくなっていきます。

いきなり機体内部のインテークと脚収納庫の壁たちがドッキングして、機体の根幹をつくります。側方の出っ張りや中央の仕切りの端に突き出た古墳みたいな断面の出っ張りものちに外皮を支えるメンバーです。

それまでのジェット機シリーズ同様、内部に大きな柱がいくつもあり、そこに接着剤を塗ることでガッチリと機体の強度やズレないパーツ接合を可能にしています。

精度も抜群で、機体下面は機首下から後部まで一体のパーツなのですが、合わせ目がピッタリとパネルで隠れて見えなくなります。左手を離すとこの外装3パーツは合わせ目がほとんど見えない一体感になります。

また内装にも工夫があります。インテークパーツの外側に翼のベロを受けるスリットがあり、そこに刺さることで翼の角度がしっかり決まります。地味にもうひと工夫入っていて、このダボを逃れるようにパーツのゲートがついています。つまり、ゲートの加工が不十分でもこのパーツで影響しないようになっているのです。

タンクのなかにも翼をキャッチする出っ張りがふたつあって、組み立てたときに頑張って角度を揃えなければいけないということもありません。これらの要素が、F-104Jの組みやすさを大きく向上させているのです。

実機の翼の色は機体と違うことがほとんどで、最終的に塗装後に組んでもいいようなパーツ構成になっています。ファインモールドの「組みたい人、塗りたい人にどこまでも寄り添う姿勢」に、自然と歩みが早くなるのです……。

尾部もそれぞれピンが出ていて、差し込むと基本保持されます。尾部のパーツは一体化してここで分割することで垂直尾翼の角度が決まること、外したときにエンジンを魅せるギミックと、さらに外側の色が切り替わるラインという3種のメリットが享受できる本当に素晴らしいアイディアです。

尖った機首にちいさな翼、最高速度マッハ2を達成するためのデザイン。F-104を作ると、いつもこのシャープなスタイルに感動します。しかし今回は、組み立てをマッハ2にするための仕掛けがいくつも詰まったキットにも感動したのでした。