

ガンプラにおけるHGUCシリーズが始まったのも、もうふた昔以上前。頭の二文字であるHGって「ハイグレード」の略称なんで、文字通りに意味を取るなら「高級」なんだけど、いまでは完全にガンプラのスタンダードラインになってしまった。スナップフィット、イロプラ、フルアクション…シリーズを始めた時はソレがすごかったんでしょう?というとそうなんだけど、それだけじゃなくて……というのを久々にHGUCズゴックを組んだら思い出したので書いておきたい。
まず手足のジャバラがひと節ごとに独立した構造になっていたことに驚いた。発売当時(シリーズ開始と同じ1999年)高校生だった自分は「ジャバラはつながった状態のワンパーツが前後に分割されていて、両端にポリパーツで動く関節が挟まっているのだろう」と思っていた。そうでなくても「もしジャバラがそれぞれ独立したパーツになっていたら、ひとつごとの唐竹割りにポリキャップを挟んで数を揃えるのが大変だなぁ」程度の認識だったのだけど、実際には「筒に関節をハメ込む」という2パーツ1アクションでジャバラのひと節ができあがり、サクサク組み進められるシンプルさもあって二重に驚いた。

「このサイズの立体物に対する構造体」として可動フレームが存在するのも新鮮だった。内部フレームといったら「リアルさ」の演出としてマスターグレード以上の高級ラインの商品に奢られるものであると思っていたから。1/144スケール(=全高13cm程度)のプラモデルとして必要とする構造を過不足なく実装しながら「このくらいのことはHGUCは普通にやります」と思わせる態度に頼もしささえ芽生えたよね。

組み立てを通して気づかされる説得力というか、「頭がいいなあ!」という感動を覚えるところはほかにもたくさんある。肘関節の軸の置き方なんかも自分は「円柱断面の中心にポリキャップを配せばいい」と何となく思っていたのだけれど、じゅうぶんな深さで曲げるためにこんなふうにオフセット配置している(!)とか、一見何の変哲もないジャバラのフチはクランク状に処理されていて、ほんのりメカ味を足された外観のアレンジであると同時に、ジャバラが視覚的になめらかなアーチを描いて連なるようにするための処理だったりする。実際に動かしてみるといろいろと納得してしまう。

それもそのはず、(今でこそ昔話になってしまったけれど)ある時期までのラインナップはカトキハジメ氏がガッツリ開発に関わっていたんだよね。説明書に開発参考用スケッチが掲載される程に。もとより氏のファンだった自分は雑誌に掲載される開発画稿を見て「なんだ、”カトキ版”を作るんじゃないのか」ってずいぶんと視野狭窄な感想を抱いていた。でもこうして実際に組んでみたら、先に挙げてきたことごとくのポイントにノックアウトされ、このズゴックが前よりずっと好きになってしまった。氏がHGUCの開発から離れて久しいけれど、開発のロジックそのものはいまでも引き継がれていると思う。

外観のアレンジに依らなくてもガンプラってこんなに開発できるものなのかって感動したよね。今でこそ当然のように検討される関節の軸位置や、部品を減らす分割、そういう考え方がこのキットを組むことでインストールされるような感覚。「それ以前のプラモがそうじゃなかった」時代に組んだからこそなのだけれど、HGUCの始めの頃ってそういう革新めいたものがボコボコ発売されるぞ!ってワクワク感に満ちていたんだよね。 HGUCズゴックを組んだら思い出したよ。