

妙に色っぽいプテラノドンに、キレッキレのディテールと異様な存在感の台座。今日のおやつはコーヒーゼリーにしようと思います。
季節が夏めいてきました。夏の季語といえば恐竜ですが(要出典)、プテラノドンは恐竜ではありません。でもしれっとラインナップされたよね、ということでタミヤの「1/35恐竜シリーズ」の最新作プテラノドンが家にやってきました。

2023年夏に一斉に再販されたタミヤの恐竜プラモデルは、コンパクトな箱に「旧復元」スタイルの「1/35恐竜シリーズ」と、ディオラマベースにマルチマテリアルで豪華かつ近代的な復元の「1/35恐竜世界シリーズ」の二大シリーズが展開中です。そしてもうひとつ、袋入りキットとして限定販売・配布されていた事実上の「1/35恐竜シリーズ」第0弾がプテラノドン。そんな幻のキットが描き下ろしのパッケージアートとクリアー成型をひっさげ、第3弾のティラノサウルスから数えること42年半(!)ぶりの「1/35恐竜シリーズ」としてこのたび新発売されたのです。

「1/35恐竜シリーズ」のフォーマットに沿ったパッケージは今回初めて作り起こされたものですが、全力で懐かしさを訴えかけてきます。一方でパッケージ横の解説文にある絶対年代(「○○年前」の表記)は2012年版のデータ。1981年当時の復元である旨の但し書きとあわせ、「旧キットの新作」といえど科学の進歩と無縁ではいられないことも訴えているようです。

キットのパーツ数はわずかなので、組み立てるだけならあっという間。パーツの接合部は特段無理のないつくりなので、初めて作る接着剤必須のキットとしてもよさそうです。
往年の復元画の香り高いパッケージアートとあわせ、本キットの大きなウリが以前にはなかったクリアーブラウンの成型色。塗装してもほんのり光が透けるので、生き物らしい自然な透明感が簡単に表現できるというわけです。が、素直に塗装するのがちょっともったいないのも本キットのいいところ。

「1/35恐竜シリーズ」のインスパイア元と思しきチェコの画家ズデニェク・ブリアンの描いた古生物の復元画はどれも艶めかしく、昨年開催された「恐竜図鑑展」で実物を目にして筆者はちょっと取り乱しかけた思い出があります。このプテラノドンも妖しげな造型(タミヤRCの滝博士の手によるものだそう)にクリアーブラウンの成型色が加わり、ブリアンがセピア色で描いた復元画から漂う艶めかしさをそのまま纏っているよう。切り立った崖と激しい波からなる台座のパーツもその肉厚さと相まって、クリアー成型にもかかわらずプテラノドンの古い復元画にありがちな重厚な背景の印象そのままです。

ネームプレートは2種(英語表記と日本語表記)が付属しているので、余った方をサイズ比較用のヒトガタの支えにしてみました。コンパクトなキットですが、けっこうなボリュームがあります。

恐竜をはじめとする古生物の「旧復元」は、えてしてノスタルジーの象徴として消費されます。しかし「旧復元」はれっきとした古生物学のマイルストーンであり、科学の文脈から切り離しても輝きを失わないもの。クリアーブラウンに変更された成型色は、後者の魅力を倍増させているようです。装いも新たに発売となったタミヤのプテラノドン、ぜひご賞味あれ。