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ハセガワが叶えてくれた20年越しの夢/セリカLBは実質アーマードバルキリーだった!

 ハセガワのカーモデル最新作、セリカLBが実質アーマードバルキリーだという話をします。いやセリカはマクロスじゃないだろと思った人はちょっとまってほしい。このプラモデル、まるまる新作なのではなく「もともとハセガワから発売されていたトヨタ1600GTにリフトバックのボディを新規で追加したもの」なんすよ。でもただのバリエーションじゃなくて、両者の間に21年の隔たりがあるのがエモいっちゅうことなんです。

 ハコを開けるとシャーシのパーツが見えますけど、これが21年前に彫られた金型。おそらくなんですが、ハセガワのほかのプラモデルたちの開発記事なんかを思い起こすと当時は図面から木型を起こしてそれをもとに金型を作っていた時代なんですよね。2002年にハセガワがVF-1バトロイドバルキリーを発売しているんですが、その翌年に作られたのがこのシャーシ。たくさんのバリエーション展開を支えてきたこともあって、パーツ裏面はなかなかに老兵の表情を醸し出していますね(パーツの彫刻とか精度はまだまだ現役なので安心して!)。

 そこに加わる新しいLBタイプのボディと、合わせて立体化されたバスタブをご覧ください。2024年のシャキシャキプラモデルは3DCAD技術を駆使したデジタルの申し子。ダッシュボードの細かいディテールまでブレずボケずにシャキーっと映し出す最新鋭のデジタル写真みたいな造形です。パーツ数がやたらめったら多いわけではなく、シンプルな構成でしっかりと特徴を捉えているのもすごく嬉しい。

 

 なんかこうやって書くと、古いプラモに新しいパーツを追加しただけに見えるかもしれません。しかし当時「セリカが出たならLBもすぐに出るやろ」と全員思ってたのに20年以上待ったんです。そしたらプラモデルの設計製造技術がまるまる違うものになっていた。この文脈、20年以上前のバトロイドに新しく装甲を着せて2022年に発売されたアーマードバルキリーと同じじゃないですか。なかなかないですよ。ひとつのパッケージに20年の時がそのまま封じ込められてお互いが合体しているプロダクト……。

 アナログ作業で作ったシャーシにデジタル作業で作ったキャビンとボディを載せるというのはそんなに簡単なことじゃございません。でも、E13パーツとE14パーツという夢の架け橋をシャーシに接着すると、ビターっとボディが被さってLBの姿が蘇ります。まさにフルアーマーセリカの爆誕なんですわ。

 組み立ては快調。古いところと新しいところで精度や組み合わせにチグハグな印象はいっさいありません。言うてみりゃボディをシャーシに被せるときに「こんなにタイトなの!?」とちょっと恐ろしくなるようなキツさがありますが、そこはちゃんと計算されているから大丈夫。寸分たがわぬ精度で20年前のアナログ造形と最新のデジタル造形が手を繋ぎ、多くのカーモデラーの夢を叶えてくれるハセガワのセリカLB。ほら、こういう話を聞くと「うわー作ってみたいかも」と思えるでしょ。すぐに買いましょう。そんじゃまた。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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