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泣く子もザワつく『サイバーフォーミュラ』プラモデルシリーズ最高傑作!/アオシマのイシュザーク00-X3Ⅱ

 前輪のステアリングが切れるってのは聞いてたけど、前後が連動するなんて聞いてなかった!組み立ての最初の工程からサプライズだ。ちょっとした事件だねコレは……アオシマの1/24サイバーフォーミュラシリーズも気づけば25年以上続く一大シリーズ。その最新作イシュザーク00-X3Ⅱが発売直後からファンを大いにザワつかせている。

 ランナーを眺めただけでココロがザワつく。「プラモにしたらこんな感じの部品が並ぶだろう」という想像はしていたんだけれど、実際に見てみたら何処に使うかわからない部品がたくさんあるのだから。なんだかワクワクしてきたぞ……!


 窮屈そうに収まる姿も「レーシングマシン特有の狭さ」を感じられる。シリーズ恒例の着座姿勢のドライバーフィギュアが付属。ステアリングにブーストレバーにペダルまで操作系はひととおり部品になっている。

 キャノピーは開閉選択式。縮尺模型とは言えど、プラモデルとして部品の肉厚を確保する必要があるから、ただでさえ狭いレーシングマシンの内部は実物をそのまま1/24に縮めたときよりも狭くなる。ゆえに室内の部品は一回り以上小さく再現せざるをえないジレンマがある。それでも再現すべき箇所であるという判断を下してくれたのがウレシイ。原作アニメ劇中の運転動作のカッコよさも大きな魅力なのだと開発側も「解っている」のが伝わってくる。


 車体後方もフルインテリアとまではいかないものの、最低限どころじゃない内部メカ表現がなされている。「ええ!そんなことホビーショーでは全然告知してくれてなかったじゃない?」と。このキット、最近のキャラクターモデルにしては発売前の情報がとても少なくランナー状態の展示や公開がなかった事もあって、発売予告から動向に注目していたファンからすれば「組み進めていくにあたってことごとくサプライズに出会う状態」が発生しているのだ……。


 薄さやエッジといった物理的なシャープさもさることながら、分割や造形自体にプラモの部品としてのキレの良さも感じる。


  そして設定上最大の特徴であるダウンフォースローター。自転する円筒状ウィングで走行風に依存しない能動的ダウンフォース制御(?)を可能とするSF空力デバイス。状況によって展開する羽根車状態も選択できる仕様なのだけど、この展開状態に対して費やされる部品の数も羽のシャープさも発売前の想像を優に超える出来栄え。展開しないときは継ぎ目もわからないほどピッタリ閉じる設定のもと閉状態ではツルツルになっている。あらかじめ告知されていた箇所でさえ予定調和以上のサプライズを汲み取れてしまう。

 組み立てのクライマックスは前後に分かれたシャーシの連結。


 ウィングごとコックピットブロックがローリング可動する。カッコよすぎる……!この独特の車体構造は、コーナーリング時にバイクの様にドライバーごと傾く「ローリングコックピット機能」の可動ギミックのために考えられたものだったのだ。まるでパラサウロロフスの頭のような特徴的なウィングと相まってこの機能が映える!そして前輪の連動可動ステアはそうか!ローリングコックピットを傾けたならステアは傾けた方向に切っていないと設定上おかしいもんね!この2つの可動はセットでしか考えられない存在だったんだ。組み上がるまで全然気づかなかったよ……。

 トリッキーなデザインだけど、じつを言うと組みやすさもシリーズ随一に仕上がっている。
漠然とウレシイなと思っていた個々の仕様は実際に組み上げてみると点と点がつながって線になった。今まででいちばん美しい線だと思う。シリーズ最高傑作ですよ、コレは……。

HIROFUMIXのプロフィール

HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

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