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110年前にタイムスリップ/指輪とチェコ製自動車プラモデルが映し出す当時の暮らし

 英国王のスピーチって映画が流行ってシグネットリングが売れ始めたんだよ。

 当時、勤務先だった銀座を去るときに今までの頑張りを形にして残したいと言って銀座のアンティークショップOLD&NEWで手に入れたのがシグネットリングと呼ばれる指輪だ。

 ホールマークと呼ばれる判別のための刻印が指輪の内側に何ひとつない……という消去法的な理由でアメリカ製だと判別した旨を店主に教わったのをよく覚えている。そんな細かいことよりも、こっちの方が大事だと言わんばかりに、大きく「1912」と指輪の内側には製造年が彫られていて、外すたびにそれを見てしまうほどには見事な彫刻だなと思い、気に入っている。

 先日、他の用事のついでに模型売り場を除いたらスムニェルの箱が目に付いた。Packard Landaulet 1912はまだ馬車の面影を残すもので、ボックスアートの真っ赤なボディがかっこいい。絵と同じようにプラスチックが赤だと良いなという思いながら購入した。

 家に帰って箱を開けようとしたときに、1912と記された年数表記が指輪と全く同じということに驚いた。つまり、指輪の最初の持ち主はこの車に乗っていた可能性があるということだ。調べてみればパッカードはアメリカ。指輪と同じ国の生まれだ。なんとなく買った赤い車は指輪の元の持ち主が暮らしていた様子を一番わかりやすく教えてくれるプラモデルになった。

 1/32 Packard Landaulet 1912は期待通りの真っ赤なプラスチックだけでなく、車輪は茶色、タイヤはゴムと丁寧に色分けがなされていた。シンプルな組み立てであっという間に形になる。多少の隙間は見られるけど、それよりも1912年に走っていた車の模型がこうして手に入ることの方がはるかにうれしい。

 指輪を手に入れた当時にOLD&NEWがあったアンティークモール銀座はすっかり取り壊され綺麗なビルになった。OLD&NEWは今は近くのビルに移転して営業中だ。

■OLD&NEW
東京都中央区銀座1丁目19-12 八木ビル A室 2F
営業時間 11:00~18:00

クリスチのプロフィール

クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。

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