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超傑作! ハセガワの「得意」が炸裂したクァドラン・ローのプラモデルに完璧な伏線回収を見た話。

 なんだこのハイテクバイオ素材・タキシードみたいなパーツは……。ハイテクバイオ素材・タキシードというのは私がいま思いついたフレーズなので、つまるところこれがなんなのか、わからないのである。なんだかわからないのがいい……というのがハセガワの新作、クァドラン・ローのめちゃくちゃステキなところだ。このプラモデルは褒めても褒めても褒め足りない、というくらい、とにかくずーっと面白い。これを読んだ人は全員組んだほうがいいです。

 クァドラン・ローは巨大な異星人が乗るパワードスーツであり、いわゆる人間のカタチをしたロボットとはぜんぜん違うスタイルを持っている。両腕両脚こそあるが、頭胸腹はひとカタマリになっていて、背中の左右と膝関節に巨大なミサイルランチャーがある。ごちゃごちゃしたシルエットに細かいディテールがチマチマと入っているのではなく、ボリューム感のあるユニットが集まって唯一無二のシルエットを構成する、”個性的なメカデザイン”のお手本みたいなロボットだと思う。大好きだ。

 プラモデル化にあたって「カタチとカラーリングをなんとか再現しよう」と考えたハセガワも、独特のアウトラインを実直に追いかけて、強度と精度を確保できるようにいろんな工夫をしている。よくわかんないものを、よくわかんないなりに、よくわかんないままに(でも立体として魅力的に、画に忠実に)プラモデルにしようとしたその痕跡がめちゃくちゃに愛おしい。海の物とも山の物ともつかない戦闘機もスケールモデルとして立体化しまくってきた「ハセガワらしさ」がここに炸裂している。

 少ない資料でもそれらしく、流麗なシルエットをうまく捉えて、ディテールに説得力を込めながら、それでいてキレイに組めるように……という飛行機模型の設計と、クァドラン・ローを模型にしようとする態度に、なんか近いものを感じるのは、決して牽強付会ではない。

 強いて言うならコクピット内部をメカ的な見せ場としたいがあまりにパーツの細分化が激しく、接着剤をつかわないハメ合わせの組み立てが逆に煩わしいと感じた。指先でつまんで所定の位置に持っていくのが難しいほど小さなパーツも散見されるし、ピンセットを使って強い力でパーツを押し込むのはあまり楽しいものではない。

 スナップフィットを採用していたとしても適材適所、部分的に接着剤を使う仕様にしてもいい気はするし、あるいは組み立ての確実さを優先してある程度パーツを一体化するといった工夫があってもいいように思う。とはいえ、このプラモデル全体の楽しさが損なわれるほどのものではないので安心されたし。

 外装は比較的大きなパーツの組み合わせで構成されるけど、嵌め合いは素晴らしい精度だし、パーツのアウトラインがビシッとツライチになるよう考えられたパーツフチの凹凸のかみ合わせも本当によく機能している。だいたいこういうアイディアは「言いたいことはわかるけど、かえってパーツがビシッと合わない……」ということになりがちなので、「絵に描いた餅」ではなく「ちゃんと食える餅」になっているのがスゴい。

 しかも曲線主体でハリのある造形はハセガワにとってかつてのメインフィールドだった飛行機模型にも通じるものがあり、「ああ、こういう組み味の飛行機模型をいまのハセガワが作ったらどうなっちゃうんだろう!」という不思議な感銘があった。背中にふたつ並ぶ台形のダクトなど、カッチリしたエッジと四隅のラウンドのバランスも素晴らしく、柔らくカーブしながら奥に行くほど狭くなる内側の設計に思わずうっとりしてしまう。

 ドシンバシンと大きなパーツが組み合わさり、それでいて流麗なシルエットがいっさい損なわれることなく目の前に現れる。しかもめちゃくちゃデカい(全高259mm!)クァドラン・ローが手に入っちゃう。「過去に手掛けたステルス戦闘機の設計手法が役に立った」と開発マンが語るだけあって、これまで発売されてきたカクカクしたカタチのロボットの数々とは明らかに異質な楽しさがここにある。

 VF-1バルキリーだって飛行機といえば飛行機だもんね、というところからおよそ四半世紀、あれやこれやを経由してついに「曲面主体の異星人のロボット」にハセガワが挑み(リガードもあったけどさぁ!)、100点を叩き出したことには本当に驚く。「いままで想像できなかったけど、絶対にこの路線が得意じゃん!」とエールを送りつつ、次なるハセガワのチャレンジに期待しまくっちゃうのである。ロボットプラモを褒めるときに似つかわしくないけど、だからこそいま輝く賛辞をあえて言おう。「飛行機のハセガワ、ここにあり!」と。

からぱたのプロフィール

からぱた/nippper.com 編集長

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』https://wivern.exblog.jp の中の人。

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