模型を楽しむ人の分だけ、その人なりのノウハウがあります。それを1冊の本としてまとめ、僕らを楽しませてくれているのが、模型雑誌編集部から発売されるHow to本です。普段あまり触らないジャンルの本などを覗いてみると「こんなすごい塗り方してる!」「え? いつも自分が使っている塗料や工具ってそんな使い方もできるのか!」と発見が満載。今回ご紹介する「美少女ガレージキットの塗り方」は、まさに自分にとってそんな1冊となりました。
プラモメーカーが送り出す商品とは別に、現在の日本のホビーシーンを作り上げたものに「ガレージキット」と言うものがあります。個人やグループによって、レジンキャストやソフトビニールなどを使って生み出されたフィギュアやロボットの模型で、ワンダーフェスティバルのようなイベントで販売されている物がそれです。マスプロ商品では味わえないアレンジや、プラスチック成型では出せないシャープさを味わえたりするので、現在も多くの人に愛されています。特に美少女ガレージキットは、国内トップクラスの原型師の造形を手にすることができ、さらにそれを塗装して楽しめるということで確固たる地位を確立しています。
本書では、そんなガレージキットを題材に、カワイく塗るためのアイディアがギュウギュウに詰まっています。
ざっくりとガレージキットとはどのような模型なのか、どんな風に世の中に送り出されるのかも知ることができます。大人の社会科見学的に、実際に潜入したレポートは読んでいてとっても面白いです。自分が楽しんでいる物、これから楽しもうとする物の背景をこうやって読めるのって良いですよね~。
How to本ですから、数々のテクニックを詳細な写真で紹介します。こちらは本誌で酒呑童子の作例を塗り上げたオタケン氏のノウハウ! 色を大事にするオタケン氏は、これまで塗ってきた色をチップとしてファイルすることで、自分の色の記憶を整理したそうです。これも模型を楽しむためのその人のこだわり。素敵です。
美少女ガレージキット(ディードリッドのみプラモですが、小サイズの美少女模型を塗る方法を紹介するために、特別掲載されています)を塗るという本の中で、僕は気軽に綺麗なゴールドを塗る方法とクリアーカラーの混色や塗り重ねによる陰影表現を自分の模型ライフの中に取り入れてみようと思いました。女の子に塗っていた方法が、僕が作る戦車や飛行機、メカの模型をさらに魅力的なものにしてくれそうな気がします。本で読んだテクニックを自分の中のフィールドに置き換えて、トランスレーションしてみるというのは、How to本の醍醐味であります。美少女ガレージキットの塗装は、細かい塗り分け、鮮やかな色彩、クリアーカラーを駆使する方法など、非常に面白い技法がたくさん見られるものです。ぜひ本書でその世界を覗いて、あなたの模型ライフに様々なノウハウを取り込んでください!。
1983年生まれ。模型雑誌編集や営業を経て、様々な世界とリンクする模型の楽しみ方にのめり込む。プラモと日常を結びつけるアプローチで模型のある生活を提案する。ブログ/フミテシログ(http://sidelovenext.jp/)