プラモデルの愉しみの一つに、「自分なりのコレクション」が出来ることがある。特に飛行機や艦船は実物をコレクションするわけにはいかないので、プラモデルだけに許された特権とも言えるかもしれない。好きな飛行機や艦船を並べるのは愉しいものだ。とはいえコレクションには色々な観点がある。生産国別、戦闘機や爆撃機などの用途別、或いは座席の数、エンジンの数というのもあるかもしれない。
第二次世界大戦に活躍した飛行機、大戦機モデルを作っていると、現代の自動車はその直系の子孫であることに気が付いたりする。ドイツの代表的な戦闘機であるメッサーシュミットBf109 G-6のエンジンはDB605とよばれる。これはダイムラーベンツの頭文字を取ったものであり、勿論、ドイツの高級車、メルセデス・ベンツを生産している会社の頭文字である。
このDB605というエンジンはドイツの同盟国だったイタリアでも随分活用された。このエンジンをライセンス生産して、大戦後期の高性能戦闘機に搭載している。これらの同じエンジンの飛行機をプラモデルだから出来るコレクションとして並べてみるというのもなかなか興味深い。
本家ドイツのメッサーシュミットBf109 G-6が直線で構成された「機能美」に溢れた戦闘機なら、イタリアのマッキ MC.205ベルトロ、レッジアーネ Re.2005サジタリオは同じエンジンを搭載しながらも、曲線で構成された「優美」なイタリアらしい戦闘機だ。それはあたかも、現代のメルセデス・ベンツやBMWといったドイツ車とフェラーリやマセラティのようなイタリア車の対比を見ているようである。
同じエンジンの機体を、同じスケールで気軽に並べてみることが出来る。さらにドイツとイタリアの飛行機を、それぞれ日本製・チェコ製のプラモデルで並べられるのも楽しい。このDB605を搭載した飛行機はまだまだたくさんある。これからのコレクションを想像するだけでもワクワクするし、そんなことを考えているときってもしかしたら1番楽しい時間かもしれない。時代を超えて、世界中を股にかける私のプラモデルのコレクションはこれからも増えていくことだろう。