そこはまるで、絵に描いたような。/京葉模型店

▲エアブラシから恐竜まで。

 「理想の模型店」の話をすると、オジサンたち……とくにプラモデルが流行っていた頃の景気のいい時代を知っている世代はだいたいこんなようなコトを言うんだよ。
 「昭和の風情を残す老舗でありながら当然のように新製品を揃え、それでいて奥の棚には埃を被っている古のキットも当時価格のまま鎮座。さらにはエアブラシからコンプレッサー、片刃ニッパーをはじめとする最新の工具まで取り揃えていて、話を振れば過去のスーパーカーやガンプラ、ミニ四駆ブームの事なんかも聞かせてくれる……」
 過去への郷愁と同時に今も現役のプラモデルユーザーとしての自分にも応えて欲しいという贅沢な欲求を言葉にするとこうなる「理想の模型店」。そんな絵に描いた餅のような店があるのか?我々はAmazonを閉じて荒川を下った……。

▲屏風から出てきた餅、京葉模型店である。

 東京・江戸川区にある京葉模型店はそんな都合のいい幻想を具現化した存在。佇まいからすでに「絵に描いた餅」だ。プラモシュミレーターがあっても驚かない(ありません)。今回は僕のお気に入りのこの店を紹介する。

 ドアに貼られたシールから「老舗」なのはすぐにわかる。創業昭和48年(1973年)。ここは隣にあった最初の店舗から新築移転した新店舗。それでも十分歴史が重ねられた姿だ。

 初代の趣味だった飛行機ラジコンを中心にプラモデルまで包括するスタイルからはじまったのでそこかしこに「古(いにしえ)のラジコン飛行機アイテム」が散見できる。(※現在ラジコン関連は在庫のみの取り扱い)

 「興味のある人、誰か買いに来ませんかねぇ…」と、つぶやくのは二代目。とても物腰の柔らかい、初めてのお客さんでも相談に乗ってくれる気さくな人だ。
 レジの載ったガラスケースはミニ四駆部品を扱う。カーボンプレートやモーター等比較的高額なパーツは「コレとコレ、あとボールベアリングください」とケースから出してもらう。回転寿司で回ってこないネタを注文するみたいな買い方をする。

 レジ前の棚はロボットキャラクターモデル中心の一等地。
「優遇されるような仕入れはしてないから、特別揃いが良かったりはしませんよ?」
 最近のガンプラ不足はここも同じなんだけれども、おかげで今までなら別棚にあったガンダム以外のキャラクターまで色々そろっていて個人的には楽しい。量販店だと「ガンプラ棚を確保したままスカスカ」とか「際限なく同じ商品が詰まれる」状態だったりしちゃうけど、ここは「他のプラモに胸を張ってリリーフさせる」采配をしてくれるんだよね……。

▲店内禁煙!
▲船も戦車も城も飛行機も…
▲プラバンのバラ売りにも対応している。

「欲しいの無かったらいってくださいね。今度問屋で探してきますよ。ガンプラとか品薄のは探しようがないんですけどね(笑)」
 品薄じゃない限りバンダイやタミヤの新製品は予約が無くても入荷するし、唐突な掘り出し物をシレっと並べもする。週一で問屋に直接買い付けに行く「現役バリバリ」に商品を回しているお店だったりする。

▲いいんですか?この下敷き……。珍しいんじゃないんですか(汗)

 「コレ倉庫から出てきたんでオマケしておきますよ」と時空を超えて発掘されたノベルティをつけてくれたりする。いまでは欲しいものがあったらまず相談する。時間がかかっても取り寄せてもらったり、入荷の見込みが怪しくても予約をしたりもする。特に割引はないけど「買えるものはこの店で買いたい」という付き合いになっている。
 老舗の模型店、それも個人商店だからそのうち閉店する。でもそれは量販店の模型売り場だって、模型に限らず行きつけの呑み屋だっていつまであるかわからない。でも、いまこうやって営業しているお店に通えるというのは幸福なことで、みんなもしたらいいと思う。本当に「絵に描いた餅」になってしまう前に……。でもこの原稿の草案見せたら店長は言ってくれるんだよね「まだまだ閉める予定はないですよ」ってね。

HIROFUMIX
HIROFUMIX

1983年生まれ。プラモデルの企画開発/設計他周辺諸々を生業にしています。

行こう!京葉模型。

京葉模型
〒132-0023東京都江戸川区西一之江1-8-1
10時~20時まで営業(※木曜日仕入れの為16時頃開店)火曜日定休。
03-3654-2991