

兵士と乗り物の組み合わせのプラモデルは情景が生まれて面白いと言われるけど、私がもっと面白いと感じているのは作っている途中だ。先日「なんだこれは」と思わず手に入れたドラゴンの1/35ドイツ軍ゴムボートは、まずゴムボートがプラモデルになっているということが面白い。そしてこのような風景が戦時中にあったということを認識させてくれるという点で重要なキットだと思う。
ゴムボートはドーナツを横にスライスしたように分割されたパーツを張り合わせ、底面のパーツやボートの周囲を囲むロープなどをつければ完成する。

手のひらに乗りそうなボートを見て「あれ、こんなに小さいのか」と思う。そのとき、なぜか自分がイメージしていたものがテレビで見るような豪快な川下りに使われるゴムボートだったことに気がついた。この大きさに、果たして本当に3人も人が乗るのかを確かめるために兵士を組み立てる。
この3人、前後のボートを漕ぐ2人の兵士は、作ったことのないポーズなので慎重に角度を合わせることにした。「これくらいかな」と角度を決めて、一度机から離れて眺めていると頭がない状態のちょっとホラーな感じがとてもユニークだということに気づいてしまった。

組み立てから完成の間にどれくらい、このような「途中の面白さ」を発見して面白く観察することができるのだろう。そんなふうに思いながら、頭のない漕ぎ手二人を見ていると、人力で動く乗り物はミリタリーものでは珍しいということに気づいた。二人も人員が必要な乗り物というと他に何があったっけ……とか、かえってゴムボートへの関心が深まったので、とても楽しい。
完成したゴムボートと兵士は、パドルが水中に入るこむような位置にセットされるので真鍮線で木材の上に少し浮かせて飾ることにした。

作り終わって、ランナーを眺めていると3点の小さなパーツに気づいた。箱裏の組立説明を見ていると、どうやら足踏み式の空気入れのパーツらしく「この大きさのボートを人力で膨らませるのか!」と驚いたし、小さいなと思っていたボートが途端に大きく感じられた。このプラモデル、売り場の棚に刺さっていたときから、完成して片付けるまで、瞬間瞬間で面白い。