

電柱の模型を買ったんですよ。バンダイの「1/25スケール 電柱」っていうガチャガチャなんで、いわゆるプラモデルとはちょっと違うんですが、しかし部分的にはランナーにくっついてる部品もあるし素材がプラスチックで組み立てが必要なので、わりとプラモデルっぽいという商品です。

この電柱の模型、とにかくデカいというか背が高い。長さが40㎝くらいあって、普通の作業机の上に立てるとかなり存在感があります。そのくせ1/24のフィギュアとかを横に置くと「なるほど、まあ人間と比べればこのくらいのサイズ感だよな……」という気持ちになるので、要は街中でボンヤリ見ている電柱というのはおれが思っていたよりずっとデカいのであります。これは模型を作って初めて理解できました。

そんで、まあ電柱の模型なんで見た目はもちろん電柱。「う~ん、電柱だなあ。思ったより長いなあ」と思いつつ、台座がわりに近所のホムセンで買ってきた端材をくっつけたりしたわけですが、しかし電柱というのはその辺を歩き回ると無限に立っているものであり、「家に電柱の模型がある」という状態でその辺の電柱を見ると、今までと見えかたが変わってくるのです。

バンダイの電柱は500円のガチャガチャとしては驚異的に頑張っている商品なのは間違いなく、よくもまあ40㎝の電柱をバラバラにしてカプセルに収めたもんだなと感心してしまうわけですが、しかし実物の電柱を見ると色々ついてない部品がある。電柱の横から生えてる支線もついてないし、実物の電柱は上の方に大量の部品がくっついている。
こんなことに気がついてしまうと「うちの電柱にもくっつけてもっとゴチャゴチャさせてえ」となり、今は金属線とかリード線とか買い集めてます。というか、日本全国の歩行者の頭上に大電流が流れる重量物が大量にぶら下がっているというヤバさに、この歳で初めて気付きました。ハンパないですね、電柱。

で、これってスケールモデルでいう「考証」の入り口なのかなと思ったんですね。オレが「考証」という言葉を聞くと、なんかすごそうで怖そうな人が分厚い資料を見ながらプラ板で超絶加工をしているような絵面をつい想像してしまいがちです。しかし、まず手元に電柱の形をした模型があり、しかしその模型には色々部品がついておらず、そして実物の電柱がその辺にドカドカ立っているという状況に置かれると、つい実物の電柱を目で追ってしまう。

電柱を見るにしても、今までのように漠然と視界の隅っこに入っていた状態から、「あそこにあんな部品がついてたんだなあ」「けっこう太さの違うケーブルが混じってるんだなあ」というような、模型にすることを前提とした見方に変化します。これって多分、実物の飛行機のコクピットの写真とキットの部品を見比べながら、足りない部分や「自分だったらこうしたい」という部分をピックアップする工程とそんなに変わらない。

で、手元の模型にディテールを取り入れることを前提として対象物をしげしげと眺める行為が、思いの外面白いんですね。電柱だから「絶対の正解」がなくて気が楽っていうのもありますけども、それでも電柱全般に通じる規則性のようなものがあり、それを破ると多分ものすごく違和感が出てしまう。そんなポイントを発見しながら、「あそこはああなっていたのか~」「あの部品はどうやって作ろうかなあ」と細部を見ていると、いつしかその辺の電柱が妙にカッコよく見えてきます。なんというか、視界の中で「細部が立ち上がってくる」という感じがするんですね。
というわけで、「対象を観察し、部位ごとの役割を知り、その結果を模型に落とし込む」という遊びの面白さは、やっぱりバカにしたもんじゃないなと最近しみじみ思っている次第。なんせ戦闘機や戦車や軍艦はそうそう身近にいないし、ガンダムなんてそもそも実物が存在しません。そういう意味では、観察の機会が多い電柱の模型というのは「考証」の入り口としてはけっこうアリだと思います!! やってみるとかなり楽しい遊びなんで、オススメですよ!!