トランペッターの最新キャラクタープラモ、ブリッツウイングで「完璧なプリペイントモデル」の甘美さを味わう!

▲マジでパッと組んだだけでこうなる。すごいぞこのプラモ

 「クルマや飛行機などが人型のロボットに変形する」というギミックが、変形ロボット玩具であるトランスフォーマー最大の特徴です。しかも、トランスフォーマーたちは変形自体が生態に組み込まれている超ロボット生命体なので、アニメ『戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー』では、「柔道の選手が受け身を取る」くらいの頻度でガンガン変形します。なんせアニメなんで二次元の嘘をつきまくれたメリットもあり、「ロボットが乗り物に頻繁に変形する」こと自体はさほど問題にはなりませんでした。

 が、実写映画となると事情が違う。実在の俳優と一緒に出てくる実物の乗り物が、実写映画に見合った解像度でロボットに変形する必要があります。2007年に公開された実写版第1作『トランスフォーマー』では、この問題を「変形時には乗り物の外装を細かくバラバラに分割して素早く激しく動かし、人間の視覚で捉えられる情報量以上の情報を短時間に流し込んでごまかす」という方法でカバーしました。なるほどその手があったか……とおれを含めた観客は驚愕したわけですが、その代償として実写版トランスフォーマーの見た目は、実物の乗り物を切り刻んだ細かいディテールが何層も重なったものになってしまいました。

▲『バンブルビー』版のブリッツウイング、いまだに「あれってマジでブリッツウイングだったの?」という疑問がある

 そんな見た目のロボット生命体をプラモデルにするという、ちょっとそれは難しそうだなというミッションに挑んだのが、今や中国を代表するメーカーに育ったトランペッターです。この会社はもともとミリタリー系のキットを売っていたんですが、その昔はなかなか品質も安定せず、当時を知っている人からすると「トラペか~……」という気持ちがあるかも。ところがどっこい最近はピリッとした高精度な模型をガンガン売っており、昔のイメージで敬遠しているとちょっともったいないですよ、というメーカーになっております。

▲説明書は日本語対応なのでご安心ください

 で、トランペッターの実写トランスフォーマーシリーズは、実のところ今回紹介する「ブリッツウイング」が2作目。一発目はみんな大好きバンブルビー(黄色いフォルクスワーゲン・ビートルね)でした。このブリッツウイング、実写版なんで当然映画『バンブルビー』に登場した、ジェット戦闘機F-4ファントムから変形する方です。

 元のアニメでは全然違うモチーフから3形態に変形するトリプルチェンジャーだったので、『バンブルビー』の予告が発表されてから「あのファントムから変形してる奴、どうやらブリッツウイングらしいよ……」という話を聞いたときには腰を抜かしたものです。

▲この通り、もうパーツに色がついております
▲国籍マーク、そして主翼の細いライン。全部もう塗ってある……

 で、先ほども書いたように、実写トランスフォーマーの皆さんは見た目が非常にガチャガチャしています。その一方、近年のロボットプラモのトレンドは、成型色と分割を生かした「組み立てただけで設定通りの色分けになります!」というもの。このトレンド、実写トランスフォーマーの見た目とは相当相性が悪い。それを解決するための力技として、今回トランペッターは「メーカーの方でパーツに色を塗っちゃう」という方法を駆使しています。

▲こんな曲面にどうやってこの精度で文字を印刷しているのか、全然わかんない
▲この頭とか、こんなに上手く塗る自信ないっす

 このペイントが、ま~凄まじい精度。マスクとタンポ印刷を駆使し、パキパキにエッジが立った塗り分けを実現しています。ボケ、ヨレは一切なし。「どうやって塗ってんのコレ……」と声が出ちゃうような精度で、少なくともおれにはトランペッターより上手く塗る自信はありません。無駄にパーツ割るより塗っちゃったほうがいい、という考えは非常に合理的だし、ユーザーにとっても墨入れやウェザリングなどの味付けに集中できるというメリットもあります。逆にいうと、それくらいしかもうやることないんですよね、このキット。

▲コクピット周辺の形は紛れもなくファントム。ツヤの使い分けもクレバーだ!
▲この外装とフレームの折り重なりかた、マジで実写トランスフォーマーです

 有機的で入り組んだ実写トランスフォーマーの構造を上手く再現するため、いわゆるガンプラ的なパーツ分割とは大きく異なる分割が取り入れられており、組んでいて「そうきたか~」となるポイントも盛りだくさん。組み上がった時のサイズが小さいこともあって、手にとった時のディテールの濃縮感はまさに実写トランスフォーマー。中国では大体2000円くらいで売っているようなんですが、これがその値段だったらそりゃお得だなあ、という内容です。

▲2000円でコレが完成するならお得だよなあ
▲重層的なディテール。めちゃくちゃカッコいい

 サイズ感で言えば、ちょうど1/100のファントムが変形したくらいの感じ。プラモデルで改めてディテールを味わうと、各所に盛り込まれているファントムっぽいディテールが改めて「これは見たことあるな!」という感じで立ち上がってきます。なんせトランスフォーマーの本流は変形玩具なので「変形しないのはちょっとな~」という気持ちもあったんですが、いざいじってみると、実写トランスフォーマーはプラモとしても嬉しみのある題材なのだなと思えました。

 なにより、日本のキャラクターモデルとは全く違う方法論で、複雑怪奇なモチーフを立体化した剛腕を味わうのはこのシリーズならではの楽しみ。オモチャ買いまくってるトランスフォーマーファンも、ちょっと変わったロボットプラモを作りたい人も、全員にオススメできる良作ですよ!

しげる
しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。