暗い顔したプラモにも、スッと明るく差せる白色。/40年前のジェット機模型を2つの調味料で仕上げる!

 「スミ入れ」というとどうしてもスミ(=暗色)を入れがちですよね。ウォッシングとかフィルタリングとか、プラモの表面に色を流すのにもいろんなワードがありますが、影となるところを暗く落としたり全体のトーンを統一したりするときに、たしかに暗色は馴染みやすく、オイルにも錆にも土にも見える茶色というのはマルチプレイヤーとしてめちゃ有能です。

 水色に塗ったMiG-21も、そのままじゃ玩具ライクな見た目。オレが12年前、インドのバグドグラ空港でたまたま見たMiG-21はバッキバキに汚れていて、「こんな骨董品が飛ぶのか!」と思った瞬間にザバーっと耳をつんざく音を立て、真っ黒なエキゾーストを吹き出しながら急角度でスクランブル発進していきました。あの手触りみたいなのは、やっぱり茶色だ。

 茶色で模型を汚したり、影を描いたりしているのはとても楽しい。初めてプラモにスミを流したときは、あまりの楽しさに脳が真っ白になったのを覚えています。けどさ、暗色でメロメロと描いてると、あたりまえながらどんどん模型が暗くなっていくんですよね。こんな凸モールドのプラモだと、凹んだところにスミが溜まってくれないのでなおさら。描いては拭き取り、なんだかスミの効果がイマイチだな……とか言ってるうちに、青い機体がどんよりと沈んでいきます。

 ……ということで、機体に明るさを取り戻すために白を乗せるわけです。白を塗るのではなくて、薄く白い層を作ることで明度を上げたり、なんなら塗料が褪色してスカスカになっている様子を表現しちゃう。

 GSIクレオスの「ウェザリングカラー マルチホワイト」は油彩系の白い塗料で、ゆっくりとした乾燥時間を使っていくらでも描いたり拭き取ったりできるし、濃く乗せれば下地を覆い隠すし、薄く乗せればほんのり白みがかったフィルターをかけるような効果があり、変幻自在の遊びができます。

▲均一に……というよりも、機体の表面にスポットを作るようにちょいちょいとホワイトを置いていきます。

 

 溶剤を含ませた筆や綿棒で、気に入った表情になるまで撫でたり拭き取ったり、また白を乗せたり擦ったりしてみましょう。ウェザリングカラーを使った効果はこの工程で千変万化。模型誌にも「こういうことができます」という方法論と結果はいっぱい書かれていますが、どれくらいの力で擦るのか、どれくらい溶剤を含ませるのか、拭き取るのか滲ませるのか……みたいなのは自分でやってみないことにはわかりません。

 でも、実際に手を動かしてみて感じる「お、ここはいい感じだ!」とか、「これはやりすぎた」「これはビビりすぎ」みたいな感触が、自分にプラグインとして残るんですよね。なので、ここでは「やりかた」よりも「白のウェザリングカラーをプラモの表面に塗ると楽しいよ」という話を書いておくのにとどめておきます。

 白とブラウンをムラムラにまとったMiG-21。40年前の東欧生まれでかなりアニキなプラモでしたが、こうしてデカール貼って「完成!」と宣言すると、なんだかやたらと凛々しく見えてくるから不思議です。組み立てと基本塗装に2時間、その後の味付けに2時間。馬子にも衣装、プラモにはデカール。

 いやあ、途中でちょっと不安になっても、最後にはピリッと締まるのがプラモの優しいところだな……とイイ話をしておきつつ、次はもうちょい聞き分けの良い子と遊んでみることにします!次行くぞ!そんじゃまた。

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からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。