戦場のキャンピングカー!?プラモで見れば見るほど面白い「タミヤ M577コマンドポスト」。

▲「なんで俺ら、屋根なしでこんなことしてるんだろうね……」

 発電機も通信機もでっかい天幕もついた、戦場のキャンピングカー! 移動指揮車両というちょっと珍しいカテゴリーのM577は、よく見れば遊び方も色々思いつきそうな一台です。

 M577の元になったのは、M113という装甲兵員輸送車です。装甲兵員輸送車は簡単にいうと「銃弾や砲弾の破片から歩兵を守りつつ、戦車と同じ速度で歩兵を運んで移動する」というのが目的の車両です。

▲こんな感じでリアが開いて兵員を収容

 なのでM113の車体は戦車ほど分厚くはないもののアルミ製の装甲で作られているし、戦車と同じように移動するために足回りには履帯を履いております。そして、車内には歩兵を11人乗せられるようなスペースが設けられているのです。

 この「車内に大の男が11人も詰め込めるスペースがある」というのが、M113が色々と便利に改造される原因となりました。なんせ戦車にはそんなスペースはないし、歩兵戦闘車は装甲車に比べてずっと高価。その点値段が安くて生産数が多く、不整地でも走れる上に広いスペースがあるM113は改造のベースとしてちょうど良かったわけです。ある時は車体の上にガトリング砲を積んでみたり、またある時は車内に迫撃砲を積んでみたり、対空ミサイルを積んだり火炎放射器を積んだり、核ミサイルの発射台になったことすらあります。M577も、そういったM113改造車両のひとつです。

 M577の元になったM113をタミヤがMMとしてキット化したのは1974年。当時はまだギリギリベトナム戦争が続いており、ベトナムにも投入されたM113はバリバリの現用車両だったことになります(今でも現役の車両ではありますが)。M577は翌年の1975年に発売されたキットなので、実車通りの開発経緯ということになりますね。

右下がフィギュア、他は全部車両用のパーツです。

 というわけでキットの中身も、M113の部品にM577用のパーツを足したものとなっております。車体と足回りはM113のまま、その上に箱組みした車体上部(M577は立ったまま車内を歩き回れるようキャビン部分が上にカサ増しされております)をくっつける構成。50年近く昔のキットではありますが、部品にはキレがあって好印象。

▲こういうよくわかんないケーブルみたいなのがついてたりする
▲どう見てもスノコ。馴染みがある~
▲なんかこういうロープも使うんでしょうね、天幕張ったりするのに。フィギュアと車両のランナーの色が違うのナイスですね
▲こちらは発電機。これもM113にはない装備

 M577にはM113にはない装備品が色々と付いております。特に重要なのが天幕と、それを張るためのポールやロープ。M577が車体の後部から張る天幕はけっこう大きく、イメージ的には「学校の運動会の本部テントの大きめのやつ」が車体のお尻からびろ~っと後ろに広がる感じです。なので、それを張るための資材も積んで移動するわけですね。その他にも発電機や、足場の弱い場所に置いて司令部の床にするためであろうスノコ状の木製パレットといった装備品がモリモリついております。あとはBBQ用のグリルとかがあれば、これ一台で全然生活できそうです。

▲スノコがなかったら側面は真っ平ら。タミヤのサービス精神に感謝……
車体の上面はいろいろゴチャゴチャしてて楽しいぞ
この四角い板はバタンと前方に起こして、川などを渡る際の波切り板になります
▲「金型彫ったの昨日?」って聞きたくなるくらいシャープな転輪を見よ

 で、完成するとこんな感じ。し、四角い……! ただ、車体側面のスノコやフロントに取り付けてある波切り板やライト、後部ランプのドアなどのディテールが目を引くので、そこまで間延びした印象でもありません。発電機のゴチャゴチャ感も楽しいし、転輪のボルトもシャープ。う~ん、見事なもんだ。

▲仕事すんのやめて肉でも焼こうぜ!

 というわけで、地味な車両ではありますが、よくよく見てみるとM113より豪華な装備がくっついているのがよくわかる一台でした。「戦場のタクシー」といわれたM113になぞらえれば、「戦場のキャンピングカー」くらいは言ってもよさそうです。キット付属のフィギュアをそのまま並べてもいいし、車体の後ろから天幕を広げてもっと大規模な司令部を作ったりとか、もしくは女子高生にキャンプさせたりして遊んでもいいかもしれませんね。およそ50年近く昔のプラモデルではありますが、車両の作りを見れば色々と幅広い遊び方ができそうです。

しげる
しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。