最新の中国製キャラクタープラモに秀逸な独自デザインと最新の設計トレンドを見た!

 ワサッと箱から出したランナー。色とりどりのプラスチックでじつに6枚。パーツはびっちり、ディテールバッチリ、立体的な造形もシャープかつ面構成も豊かに見るものをあっと驚かせてくれます。中国のMS GENERAL社製最新プラモ「[将魂姫] JT02 西遊戦機 孫悟空」でございます。国産プラモを作り慣れている人、上の写真見てビビりませんか……。そう、ひとつのランナーにふたつの色のプラスチックが混在してるんスよ……。

 ひとつの金型に2種類以上のプラスチックを流し込む多色成形はプラモ以外の現場だとそこまで特殊なことでもないのですが、ことプラモとなると事実上バンダイスピリッツの展開するガンプラが独壇場でした(もっとも、ひとつの金型に4色のプラスチックを流し込む成形機はバンダイスピリッツにしかない、といろんなメディアに書かれています)。

 その昔は「違う色のランナーを工員さんが手で合体させて多色成形みたいに見せる」みたいなパチもんプラモが中国や香港では散見されたものですが、そんな涙ぐましいフェイクを使った時代も過去のもの。ここまでバッチリ2色で成形されちゃうと「こりゃ中国のプラモも成形機械だけで言えば日本と同等かそれ以上のものをカジュアルにプラモ製造の現場に持ってこれるようになったんだな……」と遠い目をせざるを得ません。

 しかもパーツは極細のゲート(ワクとパーツを繋ぐ細い部分がほとんど点で接している)を採用しているため、手でバリッとひねれば簡単に取り外すことができます。これ、成形条件(金型の中で溶けたプラスチックがどんなふるまいをするかに応じていろいろな工夫が必要なのです)も厳しいのにサラッとやってのけてるんですよね……。

 で、そもそもこの西遊戦機 孫悟空っちゅうのはなんやねんという話なんですが、まず「将魂姫」というブランド名でメカ娘的なプラモシリーズが展開されており、その傍らで展開されている「西遊戦記」では西遊記モチーフ&メカの融合をデフォルメデザインのキャラクターでやっていくぞ、という姿勢らしい。

 パッケージにはキラキラのシール(版権を取得した商品であることを示す「証紙」と呼ばれるもの)が貼ってあり、なるほどこれはなんかコンテンツが展開されてるんかな……と上海の友人に訊いてみたところ、「これはゲームでもアニメでもなくて完全にオリジナルなデザインのプラモだよ」と返ってきました。どういうことなの!自分で考えたコンテンツに自分で証紙貼る!プライドと「ちゃんとしてるぜアピール」が迸っています。

 説明書のフォーマットも日本のプラモと遜色なく、中国語/日本語/英語の3カ国語表記でとっても見やすい。組み立て自体もまごつくようなことはなく、パーツをプチっと外してはバシッと嵌めていけばどんどんカタチになっていきます。少しだけ嵌め合わせが固いところもありますが、ちょっとの腕力でカバーできる範囲だ……。

 色分けはマジで完璧……と言ってもオリジナルデザインだからこのプラモと同じ絵を描けば「完全再現」だわな。しかしフェイス部分にちょっとだけ彩色済みパーツがある以外は細かいところまでよくパーツ分割してあって、色の取り合わせもプラスチックの透け感のなさもパーフェクト。まず孫悟空的なキャラクターが完成して……。

▲筋斗雲モチーフの一輪バイクもサクサク完成。

 わーお、普通にデザインも可動範囲も色分けもキャラクターモデルの標準スペックかそれ以上の仕上がりだ。当然色を塗ったりしても遊べますが、「どこをどう塗れと!?」と言いたくなるくらい立地な配色ですね。王道デザインに王道の設計。はー、オリジナルプラモでどこまでやれるか、その気迫みたいなもんがビシバシ伝わってきます。

 びっくりしたのは左右の手。握り手パーツと可動指の手首パーツが選択できるのですが、親指/人差し指&中指/薬指&小指の3本にまとめて造形しているのである程度のパーツの大きさ、組みやすさを担保しながらそれなりの表情と保持力をキープしているところが偉い。むりやり5本の指を独立して動かせるようにしていたらこうはならないだろうな……。

 ということで、ひと昔前までは外国のコンテンツに頼ったり、ときに無版権の海賊版みたいなものが取り沙汰されてある意味では見下されていた中国製キャラクタープラモも、現在ではオリジナルのメカ少女やこうした自国の歴史的コンテンツを巻き込みながらグイグイとアピールしてきている様子。日本でもガッチリ手に入れられる態勢が整うようですから、みなさんも「中国のプラモでしょ〜?」なんて言わずに一度は組んでみてください。かなり満足感ある組み味でみなさんを驚かせてくれること間違いなしですよ!そんじゃまた。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。