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あの日見たかった景色を見に行く/タミヤ ルノーRE-30Bターボ

 小学生の頃どうしても完成させられなかったプラモに、いつかリトライしたい。再販された同じプラモは社会人になった頃に買ったけど、それからはや数十年。住まいが一軒家になったのを機に実家から作っていないプラモを回収すると、案の定デカールが変色しているし、パーツ請求も期限切れ状態。

 でも、少し前から絶版プラモに対応した社外品のデカールがときおり発売されていて、このプラモ用のデカールを暇を見つけては買い集め、「これでいつでも作れる」と安心してさらに数年……。

 昨今の状況で自宅での製作時間も出来てきたし、なんだか作れそうな方法も見えてきた。そこで、積まれたプラモの下層で今にも潰れそうになっていたタミヤの1/20 ルノー RE-30Bターボに向き合うことに。

 このRE-30Bは70年代から続いた第1次F1ブームの終焉期のプラモで、F1プラモと言っても時代ごとに車体デザインが違うだけでなく、プラモの組みやすさという点でも変化や特徴があって面白いんですよね。

 作るにしても「いつか上手くなったら作るんだ」と情念のこもったプラモなので、刺身で頂くにはちょっと重い。でも作らなければ見たかった景色には辿り着けないので、以前から気になってた「水性プレミアムトップコート光沢の塗りっぱなし」を実体験してみようということに。

 この時代のF1プラモはエンジンとトランスミッションが実物通りに分かれていて、上手く調整しないとタイヤの向きが歪んだりして「あー、これは小学生だと失敗するわ。いま組んでもやっぱり大変だ……」と悪戦苦闘しながらも、過去のハードルを一つ一つ越えていく感じは悪くない。

 かつてタミヤが模型店で配っていたF1プラモの一覧下敷きとか総合カタログでしか存在しなかった「完成したプラモ」が自分の手で徐々に組み上がっていくにつれ、当時の思い出がフラッシュバックします。プラモを持っているだけでは得られない「あのころできなかったことができる!ボクにもできるぞ!」という高揚感が得られるのがリトライプラモの面白さだな、と。

 社外品のデカールはメーカーへの部品請求よりも高額だけど、たいていは高品質なシルクスクリーン印刷で発色や貼りやすさも向上しているので、これを使うことで「オレも上手くなったな」ってなるのがとても良い。

 デカール後のクリア塗装もクレオスのプレミアムトップコート光沢がいい仕事をしてくれたので、吹きっぱなしでもイイ感じになります。カウルのスクリーンもセメダインの「ハイグレード模型用」を使うことで綺麗に接着できて、これが子供の頃にあったら失敗してなかったなぁと。

 最終組立てでアンダーカウルパーツの反りが直せなかったので、ボディカウルはガッチリ接着してエンジン部分の塗り分けが見えなくなったけど、製作中にじゅうぶん堪能したので全然問題なし。

 ということで、数十年ぶりに「あの時見たかったプラモ」を目の前にすることができました。「これが見たくてプラモ続けてきたんだなぁ」ってシミジミ思うし、持っているだけでなく「形にしないと見えない景色」というのがあります。みんなもプラモを一度失敗したからといって「苦手枠」に入れるのではなく、ドンドンリトライするといいと思いますよ。

角材
角材

軍艦や軍車両・装備の俺得な細部写真を撮ったり、ユルユルと模型を作ったりする人。 地方在住なので流行や情報に取り残されてますが、辺境から眺める景色も悪くないかなと。

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