

ガンプラをひさびさに組んで、ガンプラの美点である「組むだけで色がキマっている」ということに驚く。白と黄色とグレー。差し色にちょっとくすんだレッド。アニメ的なリテラシーで学んだ色というよりは、超音速に挑んだり宇宙空間に挑んだりしていた頃のNASAの色使いを踏襲した組み合わせ。シンプルなのにしっかりと尖らせて整えた色のコーディネートは、たとえば今のファッションにも通じるところがあるように思う。


白とグレーは無彩色なので、センスと関係なく調和を得られる。白かグレーのスニーカーを起点にパンツとシャツをモノトーンでまとめれば、それなりに落ち着いた印象でまとまるように。
さて、組んだだけではどうもボワッとした印象になるのがモノトーンだ。せっかく入れられたパーツ表面のディテールだって、十数センチのサイズでは光がしっかりと回ってパキッとした陰影を見せてくれない。プラモが抱える「ハッキリとした陰影が実物のそれよりも弱い感じがする」というのを補完するのがスミ入れというテクニックだ。
凹んだ部分に暗い色を流し、陰影を強調する。「スミ」といえば日本語では真っ黒い「墨」を意味するが、本当に真っ黒を入れるのはあまり得策ではない。

白い部分にはむしろ、グレートーンで陰影を入れたほうがいい。好みで紫や黄色でもいいだろう。とにかく、白いところにいきなり黒い影が落ちているというのはあまりに記号的だ。

グレーのパーツにグレートーンを入れても、あまり目立たない。思い切って黒を流してもいいだろう。とにかく、「スミ入れ塗料」と名前の付いた塗料が何色も用意されていることが重要だ。茶色か、グレーか、濃いグレーか、薄いグレーか……。「スミ入れ」だからと言って、必ずしも「スミ」を入れる必要はない。


グレーのパーツにグレーを流しても目立たなそうなので、あえて黒(=スミ)を流す。必要なのはコントラスト。どのパーツにも黒を流して陰とするのではなくて、適切な陰の色を入れるようにすると、全体に色を塗ったわけでもないのに「その人が考えた陰色」という個性が生まれる。これは、せっかく最初から色分けがされているガンプラの、もっともシンプルで奥行きのある遊びであるはずだ。