俺たちはどうしてプラモを改造するのか。/アーマーモデリング2021年6月号

 いま、戦車のプラモデルってすごく良くできているんですよね。似てないとか組めないとかディテールが甘いなんてことはほとんどなくて、なんならパーツがめっちゃ細かく分割されてて中身もギッシリ、ストレートに組むだけで30年前の超絶テクニックを持ったモデラーが必死で改造してたどり着いたのと肩を並べるような完成品が手に入ってしまいます。この状況を「改造の必要はもう無いね!」と捉えるのか……否ッ!

 アーマーモデリング最新号は「トッタリツケタリ」と題して、改造のススメを全開で特集しています。ここで言う改造というのは「説明書にないことをする」という意味で取り扱われており、ストレートに組み上げるのではなく、あえてパーツを外したり、追加したりすることで自分だけの完成品を手に入れようぜ、という提案。

 特集の随所に「なぜ僕らはプラモを改造したいんだろうね」というテーマのいろいろな対談、鼎談が挟み込まれているのがすごく面白いです。改造しないとまともな完成品が手に入らなかったんじゃよ!という世代の人もいれば、最近プラモ始めたんでどれも最高に出来がいいじゃないっすか、という世代の人もいる。

 しかし、昔は高い洋書を買わないと手に入らなかったような海外の戦車の情報が、いまはインターネットでサクッと見られたりしますから、むしろいまのほうが「これ、キットをそのまま組んだだけでは再現できないね」という姿を見る機会は増えているのかもしれません。

 「プラモは自由だ!好きに改造しようぜ!」とぶん投げるのではなく、やはり「何を考えてどう改造するのか」という指針があると改造への第一歩も踏み出しやすいですよね。勝手に幅を2倍にしたりレーザー砲を付けたりというとんでもSF改造じゃなくて、リアリティのある改造ってどうやってやるの……?というのを、いろいろなパターンを例示しながら紹介してくれます。

▲売っているプラモを合体する方法!
▲無いものをプラ板でゴリゴリ作っちゃう方法!
▲市販の改造パーツをインストールする方法!

 改造というのは説明書から外れたことをやるわけですから、当然工作スキルやある程度の知識が求められます。しかし、この特集を読むことで「なるほど、改造にも種類があるし、それぞれに考え方や要求されるテクニックも違うのね」ということが体感できますし、そもそも「あ、合体していいんだ」とか「そこ、外れてたほうがリアルなんか!」みたいな驚きがあります。

 フネや飛行機、自動車ではなかなか見ないような乱暴な改造や部分的な破壊、現地で無理やりキメラ合体……みたいなことまでリアル世界でも頻繁に行われている戦車だからこそ、「プラモでもそれを実践できる」という意味では、ものすごく自由度が高いカスタムおもちゃ的な側面もあるんじゃないかな、戦車模型(この考え方ってガンプラのほうがもっと盛んだけど、スケールモデルでもありえない改造を楽しめるかもしれませんな)。

▲nippperイチオシの連載、城郭模型紀行では安土城が登場!これ、模型なんすよ!

 「え、そんな車両マジで存在したんですか!?」みたいなおもしろ実例もガンガン紹介しているアーマーモデリング最新号。リアリティのあるマイオリジナルなメカを作ってみたいな〜という人にも必ず参考になる内容になっていますので、読みましょう。そんじゃまた。

<a href="/author/kalapattar/">からぱた</a>
からぱた

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。