ピックアップ・タミヤMMフィギュア!「最前線のマネージャー会議!?」

▲戦車部隊なの? 鉄砲持ってる人もいるけど……

 このプラモデル、商品名が「ドイツ戦車部隊 前線偵察チーム」なんですが、そもそも「戦車部隊が偵察をする」という状況って、真面目に考えると「はて……?」となりませんか? 戦車部隊なら戦車に乗っているのが仕事では? 前線に入り込んでの偵察って、他の兵科の人たちがやるもんなんじゃないの?

▲どうも戦車部隊の人だけでもないっぽいぞ

 真面目に考えるとけっこう疑問が浮かんできますが、箱の裏を見れば一目瞭然。各フィギュアの役割がしっかり書かれています。野戦指揮官にドライバー、戦車長、擲弾兵のリーダー……。つまりこれは、前線に状況を見に行った指揮官と戦車部隊の現場監督が、擲弾兵(ざっくり言うとエリートの歩兵です)となにかしら打ち合わせているというシチュエーションなんですね。つまりキットの箱には「戦車部隊」とありますが、このキットにはいろんな兵科のドイツ兵が混ざってセットされているわけです。戦車部隊の移動に先駆けて前線指揮官と戦車部隊の部隊長が前線に移動し、これから攻撃するエリアの状況を先に現地に到着していた歩兵部隊のリーダーから聞き取っている……みたいな感じでしょうか。

▲箱の中にはランナー2枚。いたってシンプル
▲大戦後半ムード漂う武器・装備ランナー。これ1枚でざっくり歩兵5人分の持ち物が揃うぞ

 キットの中身はランナー2枚。ストンと立ってるか車に座ってるかというポーズの人たちばっかりなので、フィギュアのランナーはパーツ分割もおとなしめ。もう片方のランナーには、大戦後半~終盤にかけてのドイツ軍の装備がまとまっています。MP44やG43といった自動火器にパンツァーファウストのような歩兵用使い捨て対戦車兵器を組み合わせるという戦後歩兵火器の基本セットが、大戦中のドイツ軍にはすでに揃っていることがわかりますね。

▲ゲバ棒の「ゲバ」って、ドイツ語の「ゲバルト」が語源なんだそうです
▲箱の横にはアルデンヌ周辺の地名を書いた看板が!

 これはゲバ棒のパーツではなく、道標を立てるための角材です。箱の横に書かれた地名を切り抜いて貼り付けようということなのですが、ついている地名はいずれもアルデンヌ周辺のもの。ということは、つまりこのフィギュアはバルジの戦いを題材にしているわけですね。

▲ドイツ軍の将校は、中のワイヤーを抜いてフニャフニャにした「クラッシュキャップ」という帽子を被っていたんだとか
▲ドライバーなので、脚は見えるところにのみ服のモールドが入ってます

 そう思って見ると、フィギュアの皆さんはいかにも末期ドイツ軍らしい服装。通常の制服の上に迷彩のスモックを重ね着している姿は、大戦後半のドイツ軍を象徴する着こなしです。1944~1945年の冬場を題材にしているだけあって、全員なんだか寒そう。野戦指揮官の被っている帽子もなんだかくたびれ気味に見えてきます。

▲いかにも大戦後半のドイツ軍というルックス。100点!

 擲弾兵の彼の服装も、いかにも1944年冬のドイツ歩兵といったムード。ヘルメットの下にはトーク(チューブ状のニット製簡易防寒頭巾で、頭まで覆うようにつけることができた)をつけているし、ヘルメットにも迷彩カバー付き。持っている武器はMP44だし、腰には手榴弾まで突っ込んでいるという、雑多でごちゃまぜな装備品が目を引きます。

▲この人だけ、なんか雰囲気の違う服装なんですよね……

 このキットの中で一番変わった服装をしているのが、この詰襟を着た彼。このジャケットは、Uボート乗組員用の革製ジャケットなのです。なんでも、1943年に連合軍に降伏しようとしていたイタリア軍を武装親衛隊が武装解除した際に倉庫から持ち出したものなんだそうで、ドイツがイタリア海軍に支給したものが回り回ってまた戻ってきたということになります。戦車も潜水艦も狭いところに色々なものが飛び出しているという環境は一緒。着丈が短くて動きやすくポケットなどが引っかからないようになっており、なおかつ暖かい(なんせ極寒の大西洋の海中で仕事をするための服なので)Uボートクルー用ジャケットは戦車兵にもありがたかったようで、ミヒャエル・ヴィットマンやヨアヒム・パイパーのような有名な軍人も着用した写真が残っています。

▲う~ん、次はクルマのプラモも欲しいぞ!

 というわけで全員組み立てるとこういう感じに。キットには車両は入っていませんが、キューベルワーゲンやシュビムワーゲンと組み合わせればこれ一発で情景が完成しちゃいます。迷彩だけは根性でなんとかしようというキットではありますが、完成すれば落ち着いたムードの情景になるのは確実。題材的にキングタイガーみたいな野獣系ドイツ戦車と組み合わせやすいのも嬉しいポイントです。「でかいドイツ戦車を作ったけど、さみしいから横に何か添えたいな~」という時にうってつけのセットではないでしょうか。

しげる
しげる

ライター。岐阜県出身。元模型誌編集部勤務で現在フリー。月刊「ホビージャパン」にて「しげるのアメトイブームの話聞かせてよ!」、「ホビージャパンエクストラ」にて「しげるの代々木二丁目シネマ」連載中。プラモデル、ミリタリー、オモチャ、映画、アメコミ、鉄砲がたくさん出てくる小説などを愛好しています。