言われるがままモデリング/戦車プラモに「フィルターとピンウォッシュ」それなんですかの巻。

 はろー。冷蔵庫に食材が色々あるとその日の気分でカレーとか鍋とか作れるように、お手付きのプラモが机の上にいっぱいあるとその日の気分でやりたいことをやりたいようにやれる。すごい。どんどんお手ついていくべき。

 先日ちょっとだけ空いた時間で手のひらサイズの戦車をカッコよくしていたらカッコよくなっていったのでそのへんの写真をお見せしてしまう。とか偉そうに書いたけど、このやりかたはフミテシに「オイ、どうすればカッコよくなりますか」と聞いたところ「ソッスネ、フィルタリングして明るくしてからピンウォッシュすっかね」と言われたのだった。なんだそれ。暗号か。やりかたを調べてやってみるぞい。

▲洗うように塗るべし

 フィルタリングというのはお好みの色をう~んとシャバシャバに薄めた塗料で基本塗装の上からシャーっと塗るとフィルターがかかったみたいになってすごい、という技法らしい。このへんは戦車模型の専門誌『アーマーモデリング』とかで見たことがある。基本塗装と同じ系統の塗料でやると塗装がズルっパゲになってしまうので、下地を溶かさなくて乾燥が遅く、コントロールしやすい油彩とかエナメル系の塗料を使うと良い良い良い……。

 しかし油彩とかエナメル系とかわからん、という人のために汚し塗装の専門家みたいな塗料が用意されているので模型店に行ってそれをゲットするよろし。

 イスラエルなのでたぶん関東ローム層ではないだろうという予想から、砂埃的なフィルターをかける。サンディウォッシュというのは日曜日の洗濯ではなく砂っぽいウォッシュ(模型表面を洗うように塗る)をするための塗料。そのままだとだいぶ濃いので専用の薄め液でシャバーシャバにしておくべき。この段階では筆はなんでもいいでしょう。たぶん。

 乾燥がおっそいけど、あっせんなよ(内藤)。一日寝かせます。

▲寝た。

 砂埃的なフィルターがかかり、全体が黄土色のモワーっとした空気感になり申した。表面張力的なあれやこれやにより、ディテールの周囲に砂埃が固まっているのがいとをかし。

 このままではもんやりした印象なので、ここから戦車の硬質な感じとか強い日差しによる陰影とかその他くっきりした印象になるあれやこれやの効果を狙うのが「ピンウォッシュ」というものらしい。ピンポイントなウォッシュ。それはつまりスミ入れではないか。でもピンウォッシュって言ったほうがカッコいいね。

▲ピンポイントに暗い色を置いていく。

 せっかく一日寝てまで定着させた砂埃が全部消えてしまうともったいないので、ディテールの隅っことか細い凹んだ線(スジ彫り)とかを狙って今度はグランドブラウン(焦げ茶色)をシャバシャバにしてツッツッと流し込んでいく。

 かなりピンポイントに狙いたいので、ここでは言われるがままに「スミ入れ」と書いてある筆を使う。ちなみにゴッドハンドのスミ入れ用筆はマジで超絶に使いやすい。一回塗料を付けたら無限に出てくるのではないかというくらいたっぷりと塗料を含むくせに、先端からドバァと出るのではなく、藤岡弘、の淹れるコーヒーのように繊細に、ゆっくりと細く描くことができる。

 さらにコシも強いのでコントロールが最高によく、もはやこれがなかったらスミ入れしたくない。逆に言うとこの筆はスミ入れしているときに気持ちが良すぎるので、この筆を使うためにスミ入れをしているところがある。どうだ。どうだと言われても困るだろう。

▲ツーツーツーツースミ入れをして最高に気持ちよくなっているところ

 そうは言っても八っつぁん、百発百中でスミがミゾに入るってもんでもないだろう。はみ出ると思ったら怖くて仕方ねえ。熊さんは本当に仕方ねえなあ。はみ出したら拭けばいいんだよ……とオレも昔は思っていた。

 なんというか、きれいなガンプラとかを作るならはみ出た暗色を拭くのもアリなんですけども拭き取るのも毎度うまくやるのは大変だし、せっかく神の意志によって(オレが下手なのではない)はみ出たスミなのだから、これを味付けのために使ってみてはどうか。今思いついたんだけれど。

▲乾いた硬い筆ではみ出た塗料をゴシゴシこすってみる。機銃は折れて飛んでいった。

 見た目にツヤがあるくらいの濡れた状態だと表面まで茶色くなってしまうが、「少しツヤが消えたかな?」くらいまで生乾きになっているグランドブラウンをコシの強い乾いた筆(大きくてよろしい)を使ってガサガサとこするとあら不思議。くっきりはみ出たところはぼやけ、砂埃のフィルターの上からモワッと茶色いフィルターがかかり、なんだか複雑な、数学の問題に向き合う出来杉君のような表情が現れるではないか。すげー。オレ天才かな。

▲とくに何も考えていないのだが、むちゃくちゃかっこいい気がする。

 この「オレ天才かな」という壮大な勘違いはプラモを作っているときにもっとも楽しく、もっとも重要な感覚である。挫折があり、絶望があり、道端にはたんぽぽが咲いているのだが、とくにフィルタリングとスミ入れ(あっ、ピンウォッシュだった)は楽しい上に「うわー、模型が模型じゃないみたいだ!」という謎のトリップ感を味わうことができる。オレはそういうことを忘れていた。

 中学生の時にスミ入れをして「オレ、天才」と思ったが、それから3倍くらい生きて同じことをしても「オレ、天才」と思える。みなさんも天才なので、フィルタリングとピンウォッシュでまずは気持ちよくなるといいと思いました。

 さて、次はどこをどうすればいいのかまたフミテシに聞き、言われるがまま、きゅうりがパパというモデリングでこのメルカバがどんだけかっこよくなるのかやってみようと考えております。そんじゃまた。

<em><a href="/author/kalapattar/">からぱた<br></a></em><a rel="noreferrer noopener" href="https://twitter.com/kalapattar" target="_blank">@kalapattar</a>
からぱた
@kalapattar

模型誌の編集者やメーカーの企画マンを本業としてきた1982年生まれ。 巨大な写真のブログ『超音速備忘録』http://wivern.exblog.jp の中の人。