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「旅客機プラモ」を作ったら、空港ができてしまった話。

 人生で数えるほどしか飛行機に乗ったことがないのですが、久しぶりに飛行機に乗る機会がありました。搭乗したのは初めて乗るエンブラエル170型機で、均整な機体と滑らかな飛行が印象的だったので、一瞬で好きになってしまいすぐにプラモデル(ハセガワ1/144 エンブラエル170 J-AIR機)を買って組み立てました。

 初めて作る旅客機プラモデルに夢中になっているうちにあっという間に完成しました。

 手に持って眺めたり、地面に置いて眺めているうちに、「ボーディングブリッジ欲しいな」とふと思いました。空港で飛行機に乗り込むための搭乗橋です。

 空港でよく見る光景を作ってみたい一心で早速ネットで調べ、写真から大きさや構造を推測し、プラ板とプラ棒をメインに、ジャンクパーツ(ほかのプラモの使わなかった部品)も寄せ集めて作ってみることにしました。

 ボーディングブリッジができました。

 機体に密着する幌の感じなどがうまく出せたので、何度も機体に装着したり外したりして遊んでいるうちに「トーイングトラクタ―欲しいな」と思いました。自力では後退が難しい飛行機をプッシュバックする、空港でよく見かける車両です。

 完全に自作するのは難しそうだったので、1/150スケールのトレーラーヘッドのシャシーを拝借し、車体を自作してみました。車体の構造やホイールの形状は完全に雰囲気優先のデタラメ工作ですが、割といい雰囲気が出てきました。

 ボーディングブリッジやトーイングトラクタ―が揃うと、空港の情景が浮かんできてものすごくワクワクしてきました。ボーデイングブリッジ単体でも想像以上にカッコいいメカだったので作った甲斐がありました。

 で、ここまで来たら「もう空港の建物も作っちゃうか~」という気分になってきたので、作ることにしました。毒食わば皿まで精神でございます。

 プラ板とプラ棒でそれっぽく作っていきます。小学生のころにNゲージの鉄道模型レイアウトに憧れて厚紙で建物のペーパークラフトを自作しまくって欲望を昇華していた経験が活きてきました。

空港ができました。

 内側から見たときに額縁のように飛行機がカッコよく見える構図になるように窓の大きさを調整しました。屋上には展望デッキを設置し空港でこれから乗る飛行機を眺めている感覚を味わえるようにしてみました。

 一機の旅客機のプラモデルを作ったら連鎖的に色々なものが作りたくなり、プラモデルがカッコよく見える舞台がみるみる出来上がっていきました。最初は空港の建物まで作るつもりは全くありませんでしたが、気づいたら空港が出来ていました。

 中国の古典「老子」に「徳は孤ならず必ず隣あり」とあり、徳の高い人は孤立せずかならず共鳴する人が現れると説かれていますが、良いプラモデルも自然とそれに見合う情景を作らせる力があると感じます。

 飛行機によく乗る方なら見慣れた光景かもしれませんが、改めて自分の手で組み立ててみるとこれまで歩いて通過するだけだったボーディングブリッジがものすごくカッコいいメカに見えるようになりました。

 たまたま乗った飛行機のプラモデルを衝動買いして作ってみたら、プラモデルに突き動かされて自分の手で日常を再構築できた、そんな経験でした。

■ハセガワの旅客機シリーズはこちらから。

C重油のプロフィール

C重油

1991年生まれ。山口県の小さな漁港出身。大きな港に就職し大きな船を見ているうちに船の模型が作りたくなり、フルスクラッチも始めた普通の会社員。

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