この1色を足す 〜たとえば、コルセアの場合。

 塗装って面倒だなっていつも思ったりするのだけど、その割にただ切って貼るだけじゃつまらないなってわがままを言ったりもする。
 これは、つまるところ「耐えられる程度の苦労をして、結果を出したい」という話でもあって、ほどよい負荷の筋トレをするのと少しだけ似ている。

 プラモが楽しいところの一つに、この「負荷の設定を自分でできる」というのがあって、例えば色を塗るか塗らないかでそれは随分と違ったりして、どう目標を立てるのか? というのは作る前に楽しめる遊びの一つ。基本的にはガンガン負荷を上げていってボックスアートのようなものを作るのが楽しかったりするのだけど、最初からそんなことはできないし、でもやらないといつまでもできないし。というのは、プラモ趣味の苦しいところ。間を取ろうという選択肢は、あんまり聞かない。

 そこで今日は、ひとつの提案。数多ある(っぽい)選択肢の中から、ひとつを書くことにする。それは「1色を選び、ポイントにだけ塗る」というやり方。私はそれが結構好きで色々とやっていたのだけど、レシプロ機ではやったことがなかったから、それにチャレンジするのだ。

 こちらは1/48スケールのコルセア。ハセガワのものでパーツ点数が少なく、形になるまではかなり早め。模型のいいところはこうした定番キットが今も流通していて、しかも低価格なところ。加えて、古いからプロペラが小さいとか、タイヤが一つしかないとか、そういうこともない。昔から、当時の技術で最大限の努力をしているところが私は好き。そして今あげたプロペラとタイヤがレシプロ機のポイントだと思うので、それを黒く塗る。

 選んだ一色を今回は黒にしたけど、これは何色でもいいと思う。いま思いつく限りだとダークネイビーなんかはプラスチックのグレーとの相性が良さそう。黒も、今回はプロペラをタミヤアクリルのブラック。タイヤをラバーブラックと分けたけど、分けなくても良い。極論、プラスチックの色と違う色ならばそれで良いと思う。

 そのまま組み立てていくと、やはりポイントポイントで色が入っているのが良いのか、メリハリが生まれ、引き締まって見える。感覚的には塗った部分にだけカメラのピントが合っている感じであったり、ラフ画や設定画でしっかりと書き込まれている部分と、さらっとアウトラインを描くまでにとどめている部分のメリハリが生む一種の軽やかさがあって良い。大きいレシプロ機の存在感はボディを塗らずとも決して失われないという事実も見逃せない。

 作業と成果の割合を考えると、プロペラは筆で二、三度まっすぐ塗るだけ。タイヤはホイールのエッジに面相筆を合わせてじっくり塗っていくだけでこれだけの成果が出るのは、割がいい。

 塗装というのは、広い面積を塗ったり、反対に細かな箇所を塗ったりするのが難しい作業で、そこにひとつの壁がある。そこにいきなりぶつかりにいくよりは、まずはこのような、ポイントだけ塗る方法で、塗装が生む成果を手軽に体感するのは悪くない楽しみかただと思っているし、なんなら、これで得られるかっこよさで十分だとも私は思う。
 一色で塗る、というのは今回のようにプラスチックの色と合わさって「全体が二色になる」ということで、クリアーのパーツがある場合は、三色になる。これは思っているよりもずっと豊かで、部屋にぽんと置いたときも、かなり楽しい。「この1色を足す」という遊び。まずは大きめな安いレシプロ機で楽しんでみると良いかもしれない。

■ハセガワ 1/48 アメリカ海軍 Vought F4U-4 コルセア プラモデル JT25

クリスチ
クリスチ

1987年生まれ。デザインやったり広報やったり、店長やったりして、今は普通のサラリーマン。革靴や時計など、細かく手の込んだモノが好き。部屋に模型がなんとなく飾ってある生活を日々楽しんでいます。
Re:11colorsというブログもやっています。