
これは中国・瀋陽飛機工業集団が開発中と見られる次世代戦闘機、いわゆる「J-50」のプラモデルでございます。もっともJ-50というのは今のところ正式名称ではなく、軍事メディアや航空ファンの間で使われている俗称みたいなもの。ちょっと目撃情報があるくらいの素性のよくわからん飛行機がもう1/144スケールででプラモデルになっているというわけですね。で、機体の上半分のパーツと、下半分のパーツがハコから出てきて、これをバコッと合わせる。はい、ほとんど完成です。えっ!? まだなんにもしてないけど!? 尾翼がないから、あっという間にだいたい飛行機になってしまうのである。単刀直入に言えば、味気ない。

昔の戦闘機なら胴体があって、主翼があって、水平尾翼と垂直尾翼があって、それらがちょっとずつ合体することで「飛行機になってきた!」というワクワクがありました。ところがこのJ-50にはそれがほとんどない。なんなら「これからの戦闘機の模型って、もしかして全部こうなっちゃうのか?」という漠然とした不安を覚えます。ステルス性という「電波の見た目」に支配された飛行機は洋の東西を問わず、僕らの知っている論理とは無関係に巨大なヌメッとした一枚板みたいなカタチになっていく……。戦闘機の姿が変われば、当然プラモデルの組み味まで変わる。未来の飛行機を作っているはずなのに、未来の飛行機模型まで見せられているような気がしてきます。

とはいえ、この巨大な板にもなんじゃこれ……というポイントがあります。主翼のいちばん端っこにスライド金型を用いた小さな穴が開いていて、そこへちっちゃな動翼を差し込むのです。ご丁寧に薄い翼端の下側にはモコッと可動部の覆いがあって、実機の写真が出たときにも「そこ動くの!?」「ステルス性、大丈夫なの!?」とみんなが気にした場所なんすよね。胴体も尾翼もツルンツルンにしたくせに、最後の最後で翼端がピョコッと動く。最新鋭機なのに、ここだけがなんか親しみ深い何かを残している……。

腹側にはウェポンベイがあります。中に入るミサイルは白いプラスチックで、ランナーから切り出してダボにはめればズラッとキレイに並んでくれます。これがすごく楽しい。飛行機模型のミサイルって地味に面倒で、細いパイロンに接着して、正面から見たら一本だけ曲がっていたり、完成したあとに指を引っかけてポロッと取れたりしがち。ところがこいつは穴にはめるだけで頑丈に、しかもキレイに整列するんですから、ステルス機じゃなくてもこの方式になっていたらいいなと思いました。

ウェポンベイの扉と脚庫の扉は、それぞれ開いた状態と閉じた状態を選べます。着陸脚は白と黒のプラスチックを組み合わせるだけでかなりそれらしく見えます……というのもヘンで、誰もJ-50の着陸脚をちゃんと見たことがないんだから「それらしい」以上のことが言えない! こういう最新鋭機のプラモデルには、精密再現とはちょっと違う面白さがありますね。まだみんなが写真を睨んで「あそこはこうなってるんじゃないか」と言っている段階のものを、先に手で触れるカタチにしてしまうという媒体なんだなぁ。

ただし、脚扉の嵌め込みが猛烈に硬くてビビりました。接着剤なしで組めるのはありがたいのだけれど、「このまま押したらどっちか折れるな」という場所も散見され、こういうときはプラモデルなんだから穴を広げるなり、ピンをちょっと削るなりして調整する必要があります。

で、今回は脚を出さずに完成を急ぎます。せっかくディスプレイスタンドが入っているし、この飛行機はどう考えても空中に浮いている姿のほうがカッコいいし、ウェポンベイも脚庫も閉じた状態で組めます。閉状態の扉を所定の場所にはめると、扉が飛び出したり奥にズボッと落ち込んだりしません。機体の表面とぴたりツライチになります。たったそれだけなんだけど、飛行機模型をたくさん作っているとこれがどれだけありがたいか感じ入るはずです。すべての飛行機模型が今すぐこうなっていたら、飛んでいる姿をもっと味わえるよなぁと。

スタンドに載せると、圧倒的に薄い! さらに尾翼がなくて、どっちを向いているのか一瞬わからなくなるくらい平たい。そしてこの箱には無人機の「攻撃-11」もふたつ入っています。攻撃-11のスタンドはふたつが違う高さで迎角を取って飛んでいる姿勢になるので、これをJ-50の隣に飛ばしてみるわけです。すると単体では「なんだこのカタチ」としか思えなかった3機が、急に意味のある並びに見えてくるというか、ほとんどSF世界のルックになります。

有人戦闘機の横を無人機が飛ぶ。どちらが何を見て、何を撃って、どう役割分担するのかはまだよくわからん。しかし「これからこういう編隊が普通になるのかもしれない」という絵が出現します。J-50だけなら、まだ正体のよくわからない最新鋭機の模型ですが、攻撃-11まで一緒に入っていることで、これは「未来の航空戦」をうまいことパッケージングした商品になるわけです。上下を貼ったらほとんど完成して「味気ねえな」と思った模型が、最後には知らない時代の空を見せてくる。そこまで含めて、このプラモデルはよくできているなぁと思った次第。みなさんも、ぜひ。